家族すら気づかなかったタンス預金…税務署にバレる理由
相続税・贈与税の税務調査で最も指摘を受けるのが「現金・預貯金の申告漏れ」です。
令和4年度の調査で、相続財産ごとの申告漏れ金額のうち、現金・預貯金が占める割合は31.5%。贈与税の非違件数(申告誤りや申告漏れ)の69.1%も、現金・預貯金によるものでした。このため相続税の税務調査では、現預金が重点調査項目となっています。
では、税務署はどのようにして情報を把握しているのでしょうか?
人が亡くなった場合、市役所から死亡の通知とあわせて、所有している不動産の状況などが税務署に通知されます。また、過去の所得税等の申告書や保険会社や証券会社から届く支払調書などにより、故人の財産をおおむね推測します。
それだけでなく、国税庁のHPには「課税・徴収漏れに関する情報の提供」を呼びかけており、急に羽振りがよくなった場合などは“ご近所さん”からのタレコミにより調査対象とされることもあるのです。
税務署の調査権限は非常に強力です。相続人の口座を確認する場合、銀行は正当な理由がない限り、税務署の要求に応じて保有する情報を開示しなければなりません。
このため相続税の税務調査の際に必要であれば、被相続人や相続人に関する口座情報を集めることができます。
相続が発生した場合、被相続人や相続人の銀行口座の動きなどは把握されていると考えておいたほうがよいでしょう。
申告漏れがバレた…追徴税の種類は?
相続税の税務調査で申告漏れを指摘された場合、納めるべき相続税のほか、次のような加算税や延滞税が課されます。
②重加算税……税務調査を受けた際、意図的に申告内容を仮装したり、事実を隠ぺいしたりしたと客観的に判断され、脱税の事実があった場合に課されるペナルティです。その場合過少申告加算税にかえて、その追加で納める相続税に対し、35%の重加算税を納めることとなります。
③延滞税……原則として本来の納期限から納付した日に対し、2月を経過する日までは本来「年7.3%」、それ以後は「年14.6%」が課されます。もっとも、市場金利に比べあまりにも高いため、現在は特例基準で2月を経過する日までは本来「年2.4%」、それ以後は「年8.7%」が課されます。
タンス預金を相続財産に含めずに申告した場合、意図的に財産隠しをしたと判断され、重加算税が課税されます。現預金の隠ぺいは重加算税が課されることも多く、税務署の重点調査項目です。多額の納税額を課されないようにするためにも、適正な申告を心がけましょう。
宮路 幸人
多賀谷会計事務所
税理士/CFP
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