年金月6万円、会社は赤字だが…80歳ワンマン社長の生活
とある政令指定都市で土木工事業と不動産賃貸業を営むA社長(80歳)は、かなりの“ワンマン経営者”として有名でした。会社には数人の従業員と、後継ぎとして入社させた息子50代が勤めているものの、社長のAさんには意見できないイエスマンばかり。というのも、過去に社長に意見した人はその後明らかに待遇が悪化し、全員辞めてしまったのでした。
そんなA社長が経営する会社は、ほとんどの年が赤字であり、さらに、A社長は60歳から年金を受給しているものの、その受給額は1ヵ月あたり約6万円と、決して十分な額とはいえません。
にもかかわらず、Aさんはかなり“羽振りが良い”様子です。愛車のベンツは、数年ごとに乗り換えています。また、夜の街にも顔が利き、80歳のいまでもクラブや料亭にしょっちゅう通っているのだとか。
そんなある日、税務署から連絡がありました。
調査官「法人税の申告書で確認したいことがありますので税務調査に伺いたいのですが」
しかし、これに対しAさんは、「うちは3年連続で赤字で全然儲かってないんだぞ! なのに税務調査!? まったく、だから税務署は信用ならんのだ。うちみたいな貧乏法人を調査する暇があったら、政治家の裏金でも調べたらどうなんだ!」と、電話口で調査官に説教する始末です。
しかしあくまでも税務調査に伺いたいとの要請に社長のさAんも渋々応じることになりました。
税務調査当日…調査官の追及に声を荒らげるA社長だったが
そして数日後、調査官が2名でやってきました。最初は社長の経歴や会社の概要など、なごやかな雑談から始まったものの、午後になり具体的な調査が行われることに。
調査官「会社のベンツは個人的な目的で使用はされていませんか?」
「このゴルフはどなたと行かれましたか? 仕事に関係ないご友人とですか?」
「この料亭やクラブはどなたと行かれましたか? 仕事関係者とですか? どういう目的で行かれたのでしょうか?」
「この海外への社員旅行は、家族しか行っていないんじゃないですか?」
Aさん「そ、それは……でも、前回の調査の時はそんなこと指摘されなかったぞ! それにほかの会社もやっていることじゃないか! なぜ私ばかりが指摘されなければいけないんだ!」
調査官「前回の調査ではその点に気づかなかっただけでしょうね。では前回の調査のときまで遡って修正しますか? あと、他の会社もやっていると言われましたが、その会社名を教えていただけませんか? 調査に伺いますので」
Aさん「……あぁ~、もう!」
結局、Aさんの叫びも虚しく、法人税・所得税・消費税に加算税と延滞税を加えたおよそ500万円を課されてしまったのでした。
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