税務署からかかってきた1本の電話
タンス預金の発見から約1年後、Aさんは両親から「税務署から電話で税務調査に伺いたいと言われた」と連絡を受けました。
(まさか1年前のあれがバレたのか……? いやいや、作業員が見つけてくれるまで誰も知らなかったぐらいだし、バレるわけないよな)と、不安なAさん。
そもそも任意の税務調査なのだから拒否することはできないのかと調べてみるものの、拒否をした場合に罰則があると知り、しぶしぶ税務調査を了承することに。
税務調査当日、調査官は2人で見えました。緊張していたAさんでしたが、優しい雰囲気の調査官とのなごやかな雑談で始まったこともあり、少しずつリラックスしていきました。
午後に入ると「おじいさまの生前の所得を考えると、相続財産が少なく思えるのですが……おじいさまの生前の趣味やお金の使い道について、なにかご存じではありませんか?」との質問が。しどろもどろに答えていると、さらに「預金通帳を見せていただけますか?」と求められました。
Aさんが祖父の通帳をすべて渡すと、Aさんや他の相続人の通帳も見せるように要求されました。
「どうして我々の通帳まで見せなければいけないのですか!」と抗議するも、調査官は「相続人も関係者ですから、調べる必要があるんです。なにもなければすぐにお返しいたしますから」との言い分でした。こうして山分けしたタンス預金の存在が判明してしまったのです。
調査官「ここで同じ時期に相続人の通帳に分けて入っているお金はなんでしょうか?」
Aさん「そ、それは……家の取壊し中に床から現金で見つかったものです」
調査官「なぜ相続財産に含めて申告していないんですか?」
Aさん「タンス預金なのでバレないと思って……すみません」
この結果、故意に財産を隠したものとして悪質だと判断されてしまい、重加算税という重いペナルティが課されることに。
Aさん「そんな……そんなぁ! 悪いとは思っていますから、なんとか見逃していただけませんか!? このお金は住宅ローンの頭金にするつもりなんです。いまこれが無くなったら、計画がめちゃくちゃになってしまう……」
そんなAさんの悲痛な叫びもむなしく、課税総額金額は、相続税のほか重加算税、延滞税を含めておよそ4,500万円となりました。
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