ローカル5Gの導入と課題
ローカル5Gは、特定の建物や敷地内で専用の5Gネットワークを構築する通信方式です。これは通信事業者が提供する公衆5Gネットワークとは異なり、病院や企業の内部専用ネットワークとして利用されます。ローカル5Gの最大のメリットは、高速なデータ通信と低遅延です。これにより、大容量の医療データのやり取りや、リアルタイムでの高品質な音声・映像通信が可能となり、医療現場での業務効率向上が期待されています。
しかし、ローカル5Gの導入にもいくつかの大きな課題が存在します。まず免許(電波法第4条)の取得と無線従事者(無線免許保持者)の配置も必須となりますし、電波使用料もかかります。また、ローカル5Gの基地局(アンテナ)の設置には初期投資を要し、導入コストが高くなる点も大きな課題です。
総務省はローカル5Gの普及を促進するために、免許取得の規制緩和を進めていますが、それでもなお運用には厳しい要件が課されており、既存の通信システムとの互換性や統合も重要な課題となります。高性能な通信環境が提供できる一方で、導入に際しての技術的なハードルやコスト面での課題があり、現時点では慎重な判断が必要でしょう。
FMCの可能性と課題
FMC(Fixed Mobile Convergence)は、建物の外では通常の携帯電話として、公衆携帯網を使用しますが、建物のなかでは内線電話として利用できる技術です。この仕組みにより、医療従事者は外出先でも院内でも同じ電話番号でシームレスに通話ができるようになります。
特に外回りの多い医師には大きなメリットがあります。たとえば、大学病院に所属する医師が外部の病院へ応援に行く場合であっても、FMCを使えば院内外のどこにいても一貫して通話が可能です。また、薬剤師が疑義照会を行うときにも、外出中の医師にすぐに連絡を取れるため、業務効率が大幅に向上します。
しかし、FMC導入にも、いくつかの課題が。通常のナースコールは、患者からの呼び出しが複数の看護師へ同時に通知され、誰かが応答するとコールが停止するという仕組みです。しかし、FMCを使う場合は、通知先が個々の携帯端末になるため、シフト変更ごとに設定を変更しなければなりません。当然、病欠など急なシフト変更の場合もです。特に大規模な病院や病棟では、設定の変更が手間となり、運用が煩雑化する可能性があります。病院が端末を用意する方法もありますが、それではFMCのよさが失われるでしょう。そのため、FMC導入においても、現場での運用には慎重な検討が必要といえます。
まとめると、医療機関向けの無線LAN、sXGP、ローカル5G、FMCの4つの通信技術は、それぞれに利点と課題があり、最適な選択は施設の規模や導入コスト、既存システムとの互換性などに依存します。明確な「正解」はなく、各医療機関のニーズに合わせた慎重な選定が求められます。2024年秋時点では、sXGPの安定性と汎用性が注目されていますが、今後とも技術の進化や市場動向に応じて最適な通信手段を選んでいくことが重要です。
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