※画像はイメージです/PIXTA

2つの道路に面している土地は、利便性が高いとみなされるため土地の評価額が上がります。それに伴って相続税も高くなってしまうため注意が必要です。具体的な計算方法について相続専門税理士が解説します。

図を使った「二方路線影響加算率」による調整方法

図表3の例をもとに、二方路線影響加算率を使って土地の評価額を計算してみましょう。計算の流れは次のとおりです。

 

  • STEP1:正面路線を決定する
  • STEP2:1m2あたりの評価額を計算する
  • STEP3:1m2あたりの評価額に面積をかける

 

出所:相続税専門の税理士が監修する相続お役立ちサイト 税理士税理士法人チェスター 税理士が教える相続税の知識
[図表3]正面と裏面で道路に設置している土地 出所:相続税専門の税理士が監修する相続お役立ちサイト 税理士が教える相続税の知識

 

STEP1:正面路線を決定する

道路Aと道路Bの路線価を奥行価格補正率で調整した価格で比較し、金額が高いほうを正面路線とします。

 

道路A:路線価200,000円×奥行価格補正率1.00=200,000円

道路B:路線価300,000円×奥行価格補正率1.00=300,000円

 

200,000円<300,000円であるため、金額が高いほうの道路Bを正面路線とし、道路Aを裏面路線とします。

 

STEP2:1㎡あたりの評価額を計算する

まず、1m2あたりの正面路線価を計算します。正面路線は道路Bであるため、1m2あたりの正面路線価は次のとおり計算します。

 

1m2あたりの正面路線価:道路Bの路線価300,000円×奥行価格補正率1.00=300,000円……①

 

次に、裏面路線の影響加算額を計算します。裏面路線は道路Aであるため、奥行価格補正後の道路Aの路線価に二方路線影響加算率をかけます。評価する土地は普通商業・併用住宅地区であることから、二方路線影響加算率は0.05となります(図表2参照)。

 

1m2あたりの裏面路線の影響加算額:
道路Aの路線価200,000円×奥行価格補正率1.00×二方路線影響加算率0.05=10,000円……②

 

出所:国税庁ホームページ
[図表2]二方路線影響加算率表(再掲) 出所:国税庁ホームページ


 
1m2あたりの正面路線価に1m2あたりの裏面路線の影響を加算したものが、この土地の1m2あたりの評価額となります。

 

1m2あたりの評価額:①+②より、300,000円+10,000円=310,000円……③

 

STEP3:1㎡あたりの評価額に面積をかける

1㎡あたりの評価額に面積をかけて、土地の評価額を計算します。

 

土地の評価額:310,000円(③)×面積600m2=186,000,000円

 

以上の結果、この土地の評価額は186,000,000円となります。

 

二方路線影響加算額を考慮しないでこの土地を評価した場合は、300,000円(①)×面積600m2=180,000,000円となります。したがって、二方路線影響加算による調整で、評価額は6,000,000円増えたことになります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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