代理店系とダイレクト系で評価差に明暗
前年調査から大きくスコアが低下した代理店系ではあるが、ファクター別に見ると、「事故受付体制」、「事故対応担当者」、「調査/認定結果」、「修理サービス」、「保険金支払」の5ファクターで20ポイント以上の低下が確認された。
詳細評価を確認すると、コールセンターや代理店の事故受付、保険会社や代理店の事故対応担当者の顧客対応に加え、保険金支払におけるスピード感・納得感などの評価で低下しているものが散見された。
一方、実態設問を検証しても、顧客接点において対応面や活動量に評価がここまで低下するほどサービスが低下している実態項目は見られない。実態以上に評価が低下していることを踏まえれば、代理店系では顧客に対する姿勢自体に検証が求められる。
一方、スコアが上昇したダイレクト系では「事故対応担当者」、「調査/認定結果」、「修理サービス」、「代車/レンタカーサービス」、「保険金支払」の5ファクターで10ポイント以上の向上が見られた。「保険金支払」や「事故対応担当者」など事故処理の重要なプロセスを担うファクターの評価向上は、これまでコスト重視で選ばれがちなダイレクト系にとって、サービスの質も向上していることの表れであると言える。
ブランドイメージ設問を追加
自動車保険契約者満足度調査と同じく、本調査でも本年より、企業のブランドイメージを測定する設問を新設した。昨年報じられた自動車保険会社大手4社による保険金の不正請求関連問題など業界内の不祥事が目立つことからも、企業のブランドイメージがどのように推移するか確認することを目的としている。
事故対応をした自動車保険会社に対して、「顧客重視」、「革新的」、「信頼できる」、「積極的」、「親しみやすい」、「財務的に安定」、「評判が良い」と、「契約者編」と同じ7つのテーマで測定している。
結果としては全項目でダイレクト系のスコアが高く、最も差が大きいものは「革新的」で0.47ポイント、次に「評判が良い」で0.33ポイント、「顧客重視」においても0.26ポイントとなり、概ね「契約者編」と同様の結果であった。「事故対応編」においても代理店系のイメージ回復が喫緊の課題と言える。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門常務執行役員 梅澤希一のコメント
「「事故対応編」においてダイレクト系が代理店系を総合満足度で上回ったことは、コストだけではなく品質でもダイレクト系が支持を受けていることを示しており、自動車保険業界における時代の転換を示す大きな結果であると言える。
大手中古車販売会社による保険金不正請求問題や損保大手企業によるカルテルなどが騒がれた過去1年の中、代理店系は顧客からの厳しい視線にさらされ、その評価は大きく損なわれることとなった。特に、事故対応を経験した顧客にとって保険金不正請求問題は他人事ではなく、「契約者編」と比較して顧客満足度の大幅な低下につながったものと考えられる。
代理店系各社ではこうした評価を真摯に受け止めるとともに、信頼回復に向けて顧客本位を実現するための仕組みや体制の徹底的な見直しが求められていると言えよう。」


