ハヤトさん・サツキさんのフォトウェディングのワンショットより

多様性が当たり前になるなか、従来通りの枠組みで結婚をする性的マイノリティの人達がいます。本来であれば現行制度における結婚は難しいにも関わらず、なぜ結婚という結論に至ったのか。お互いが性的マイノリティだという一組の夫婦から、結婚を選択せざるを得ない現実について考えていきます。

性的マイノリティの二人…子どもの誕生から1年

性行為のない夫婦ではありますが、初対面の頃から「子どもはいたほうがいい」と話していました。ただ、そこにも親からの圧があります。

 

「『早く孫の顔をみたいという親の圧を避けたい』という思いがあったことは否定できません。もちろん『子どもが好き』という思いもありましたが、純粋な気持ちだけではありませんでした」とミナトさん。同じ理由で子どもをもうけるか悩んでいるカップルのためにも、色々な考え方があることを知ってもらえたら嬉しいと話します。

 

性行為がなくても妊娠する方法のうち、二人が選択したのは排卵周期ごとにタイミングをとるシリンジ法。何度か試すなかで妊娠。予定日より少し早めに出産し、家族が増えてあっという間に1年ほど経ちました。二人の思惑通り(!?)両親は孫にメロメロだといいます。

 

親子3人、手を合わせて
親子3人、手を合わせて

子どもが生まれてからの結婚生活は順調そのもの。その秘訣を問うと「相手に期待しないことかな」と口を揃えます。家事も育児も決まり事はなく、二人のうちできるほうがやるというのが基本スタイル。相手に求めることがないから喧嘩になることもなく、相手に対して常に平常心でいられるといいます。

 

どこかドライにも感じる二人の関係は友情結婚、特有のものなのでしょうか。「もし親からの圧がなくても結婚はした?」と問われれば、少し考えこんだあとに二人とも「結婚はしなかった」と回答。しかし「結婚してよかった」と意見は一致しています。

 

「子どもに出会うことができ、子育てという貴重な経験ができました。何よりも毎日が楽しい。ひとりでは決して得られない感覚です」

 

いまは子ども第一に考える生活を送るミナトさんとサツキさん。その表情は幸せそのものです。

次ページ根強い古い結婚観の背景にある「戦後80年、変わらない法律」

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