散財癖がついた原因は15年間にわたる職場でのいじめ。老後資金2,000万円が貯まった〈60歳おひとりさま女性〉が急に焦り始めたワケ「何とかしなきゃ」【CFPの助言】

散財癖がついた原因は15年間にわたる職場でのいじめ。老後資金2,000万円が貯まった〈60歳おひとりさま女性〉が急に焦り始めたワケ「何とかしなきゃ」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2,000万円問題が話題になったのはもう過去のこと。でもそれを基準に考えている人も少なくありません。独身の美保さんもその1人でした。60歳の時点で2,000万円あれば老後はなんとか生活していけるだろうと思っていたのですが、それは大きな誤算だったのです。本記事では、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、老後に必要となる資産の目安について解説します。

ストレスで鬱病と診断…独立を決意

美保さんへのいじめは15年以上も続き、会社にいても仕事以外では誰とも話すことのない毎日。さらに仕事の早い美保さんには他の人の2倍以上の仕事を任され、それをこなさなければなりませんでした。周りが雑談している間も集中して仕事に取り組まなければ間に合いません。

 

そのころの美保さんのストレス解消法は服を買うことでした。お気に入りのセレクトショップで会社に着ていく服を選ぶ時間だけは楽しく、新作がでるとつい買ってしまうことも。一時は年間に200万円もの金額を洋服の購入に使ってしまうこともあったそうです。しかし、新しい服やバッグ、靴などを身につけて出社すると、「また男に貢いでもらってる」と裏であることないこと言われてしまうのです。

 

美保さんはある日、会社に行く支度をし、玄関を出ようとした瞬間うずくまってしまいました。会社に行くのが嫌だと身体が訴えてきたのです。その日は休みをもらい、病院で見てもらったところ鬱だと診断された美保さんはしばらく休職することになりました。そのときも先輩女性は「絶対に仮病だ」と噂を流し、美保さんは悔しさに涙が止まらなかったそうです。

 

心療内科に通いながら、抗うつ剤や精神安定剤、睡眠薬など多くの薬を飲み自宅で過ごす毎日。何をしても楽しいと感じることがなく、外に出る気も起きません。昔から好きだった読書や映画鑑賞すらできなくなっていました。本を読んでも文字が目に入ってこないのです。面白くもなんともありません。テレビを見ても笑うことすらできず、美保さんの顔からは次第に表情が失われていきました。

 

「頑張っていればいつかいいことがある」と思って続けた結果が鬱で休職。美保さんは自分の情けなさに泣かずにはいられませんでした。

 

傷病手当を受け取りながら会社を休めるのは最大1年6ヵ月です。美保さんは休み始めて半年経ったころから、もう会社に復帰することは考えなくなりました。

 

そして元々持っていた資格を活かし、独立することを決意したのです。

 

鬱の症状も次第に良くなってきた1年後、美保さんは会社を辞め、フリーランスとして働き始めました。最初こそは収入が少なく、生活が苦しい事もありましたが、時間の経過とともに順調に収入が得られるようになり、最終的には会社を辞めたころの年収を上回る収入を得られるまでに。

 

そして、余剰資金は運用に回すなどして60歳時点で2,000万円の資金を準備することができたのです。もちろん若いころに購入したマンションの返済も終えています。

 

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