(※写真はイメージです/PIXTA)

豊かな老後を送る目的で資産形成を行っている人も多いでしょう。リタイア後は夫婦で海外旅行を楽しんだり、仲間とゴルフを楽しんだりと計画するのは楽しいものです。しかし、それらは全て健康な身体でなければ行えません。本記事では、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、健康寿命を延ばすことの大切さについて解説します。

ゆとりのある老後生活にかかる費用は?

生活保険文化センターの資料によると、夫婦2人でゆとりのある老後生活を送るためには、毎月約38万円が必要※1とされています。ゆとりのある老後生活を送る用途として1番に挙げられるのは旅行やレジャー費用、そして2番目は日常の生活費です。また、趣味や教養に使いたいと思っている人も約50%いることを考えると、リタイア後は自由になった時間をいかに有意義に過ごすかがポイントとなっているようです。

 

しかし夫婦2人で受け取れる年金収入の平均額は約22万円※2となっており、毎月16万円の不足分が発生します。年間だと192万円。もし夫が平均寿命である81歳まで生きたとして、65歳時点で年金以外に約3,000万円の資金が必要です。ただ、これからの物価上昇などを考えるなら、4,000万円以上は最低でも準備しておきたいところです。

健康寿命とは?

健康寿命とは日常生活に制限なく過ごせる期間をいい、男性は約73歳、女性だと約75歳となっています。つまり、男性の場合平均寿命までの8年間、女性だと12年間は日常生活に何らかの制限を抱えながら生きることになります。

 

ただ、健康寿命は努力することで延ばすことができ、健康寿命を延ばすことで医療費や介護費用の節約にもつながるのです。

優雅な老後生活が一転して病院との往復だけに

80歳の達也さんは定年退職時に、退職金も合わせて7,000万円の資金を持っていました。マンションのローンも払い終え、2人の娘も結婚して可愛い孫に恵まれ、誰もが羨むような生活。娘夫婦はともに東京に住んでおり、達也さん夫婦は出身地でもある大阪で生活をしています。

 

定年後は、同じ年の妻・香織さんと毎年国内旅行に行くほか、2~3年に1度はヨーロッパ旅行を楽しんでいました。旅行はパッケージではなく、現地で通訳を付けてもらい、自分のスケジュールで観光地を回るプラン。そのほうが気軽で楽しめると思ったからです。

 

国内旅行は1回30万円、海外旅行のときには1回200万円近くの費用がかかりますが、達也さんには十分貯蓄もあり、年金も企業年金を合わせると月に40万円と多かったことから、生活に困ることはありませんでした。

 

時には孫の顔を見に東京に1週間程度滞在し、欲しいものは全部買ってあげる溺愛ぶりです。

 

その生活が変わったのは、妻の香織さんが突然病気にかかったときからです。

 

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