※画像はイメージです/PIXTA

相続税の申告を怠っていたことが税務署にわかると、最初から正しく申告していればかかるはずのなかった重いペナルティーが課されることになります。それはどれほどのものなのか。税理士が解説します。

1年間無申告だった場合のペナルティー

相続税を無申告のままにしていることのペナルティーがいかに重いかをイメージしていただくために、具体的な金額を例にしてペナルティーの金額を計算します。

 

【例】Aさんは父親の遺産相続で相続税を納めなければなりませんでしたが、申告期限(令和4年1月20日)を過ぎても申告していません。

 

本来納めるべき相続税は500万円であるとして、次の場合に課されるペナルティーの金額を計算します。いずれの場合も、申告と納税は令和5年1月20日に行ったこととします。

 

 

(1)税務調査を受ける前に自主的に申告した場合

(2)税務調査を受けて相続税を納付するように指摘された場合(財産は隠していなかった)

(3)税務調査を受けて財産を隠していたことが発覚し、相続税を納付するように指摘された場合

 

(1)税務調査を受ける前に自主的に申告した場合

申告期限までに申告していないので、無申告加算税が課されます。税務調査を受ける前に自主的に申告したので、税率は5%です。

 

また、納税が1年遅れたので延滞税が課されます。計算期間は令和4年1月21日から令和5年1月20日までの1年間であり、税率は年2.4%です。

 

無申告加算税:500万円×5%=25万円

延滞税:500万円×2.4%×365日÷365日=12万円

 

無申告加算税と延滞税を合わせると37万円の負担となります。

 

(2)税務調査を受けて相続税を納付するように指摘された場合(財産は隠していなかった)

申告期限までに申告していないので、無申告加算税が課されます。税務調査を受けてから申告したので、税率は税額50万円までの部分が15%、50万円を超える部分が20%です。

 

また、納税が1年遅れたので延滞税が課されます。計算期間は令和4年1月21日から令和5年1月20日までの1年間であり、税率は年2.4%です。

 

無申告加算税:50万円×15%+450万円×20%=97万5,000円

延滞税:500万円×2.4%×365日÷365日=12万円

 

無申告加算税と延滞税を合わせると109万5,000円の負担となります。

 

(申告期限が令和6年1月1日以降の場合は、300万円を超える部分の無申告加算税の税率は30%となります。)

 

(3)税務調査を受けて財産を隠していたことが発覚し、相続税を納付するように指摘された場合

財産の隠ぺいが発覚したので、無申告加算税のかわりに重加算税が課されます。税率は40%です。

 

また、納税が1年遅れたので延滞税が課されます。計算期間は令和4年1月21日から令和5年1月20日までの1年間であり、税率は年2.4%です。

 

重加算税:500万円×40%=200万円

延滞税:500万円×2.4%×365日÷365日=12万円

 

重加算税と延滞税を合わせると212万円の負担となります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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