多言語国家が多い欧州の特殊事情…ドイツは70兆円も国外に流出、隣国と公用語が同じで話が通じやすく、税務当局にバレない預金づくりが容易?

多言語国家が多い欧州の特殊事情…ドイツは70兆円も国外に流出、隣国と公用語が同じで話が通じやすく、税務当局にバレない預金づくりが容易?
(※写真はイメージです/PIXTA)

欧州は国と国が隣接していることもあって、公用語を複数持つ多言語国家が多くあります。同じ公用語を話せることで預金を容易につくることができ、隣国で得た収入は自分の国の税務当局にわからなければ税金を納めなくても問題なしとなってしまいます。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。

多言語国家の存在…ドイツ語、フランス語を使う国々

欧州には多言語国家がたくさんあります。

 

たとえばスイスで使用されている言語は、ドイツ語フランス語イタリア語など多岐にわたります。ベルギーオランダ語、フランス語、ドイツ語。ルクセンブルクルクセンブルク語、ドイツ語、フランス語。オーストリアはドイツ語チェコ語スロバキア語のほか、全部で7ヵ国語です。

 

上記からわかるように、ドイツ語、フランス語を母国語とする個人は、他国に出向いても母国語を使用することができるということです。

 

現在は国家間において、金融口座情報を交換する「金融口座情報自動的交換報告制度(AEOI)」が完備され、超富裕層の財産の情報が共有化されるようになってきましたが、かつては他国に金融口座を保有して、そこから生じる利子所得等を自国で申告しなくても自国の税務当局から指摘されないことが多々ありました。

税逃れのために他国に預金をしていた

所得税では、その国の居住者は国内および国外のすべての所得を自国に申告することになります。すでに述べたように、近隣の国で母国語が通用する国があれば、その国に預金することが容易です。

 

まして、近隣国で得た利子所得(国外所得)が母国の税務当局にわからなければ、脱税ができます。しかも欧州の多くの国は、国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定である「シェンゲン協定」の加盟国ですので、近隣国への出入国もたやすいのです。

 

欧州の中央に位置するリヒテンシュタインは、公用語はドイツ語、人口は約4万人弱で、日本の小豆島とほぼ同じ面積です。この国もシェンゲン協定の加盟国ですので、ドイツ人はこの国の銀行に預金をすることができます。

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