(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の理念や歴史、地域性を軸として商品を発信する「ルーツ・ブランディング」。なかでもブランドの象徴となる「ロゴマーク」は、企業のコンセプトを表すため、さまざまな微調整を重ねながら作られています。今回は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、福岡県の老舗和菓子メーカー「如水庵」のロゴマークのデザインを例にみていきましょう。

機能性も取り込んだデザインに

ロゴマークの次は、大福を入れる個包装やサービス箱、紙袋、保冷バッグなどの店舗で使う資材のデザインを決定していきました。

 

お客様にブランドらしさを伝えるための最も近いツールである一方、商品を保護しお客様が安全に持ち運ぶための機能が重視されます。また、素材や形状、印刷・加工とコストのバランスを取り、情緒性と機能性のバランスをうまく取ることが重要です。

 

出所:
[画像3]おふく大福の世界観を表現したサービス箱や紙袋、保冷バッグなどの店頭資材 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

今回は「心理性・自家消費需要」を考慮し、あまり華美になり過ぎず日常の気軽さがありながら、お客様が少し贅沢な気持ちになり、大切な人へおすそわけしたときにも心遣いとセンスを伝えられるような佇まいを心掛けました。

 

デザインは、やさしい白を基調とした素材を活かしてロゴマークを配置しています。そして福岡の伝統工芸である博多織の織り柄をさりげなく入れました。これも「おふくさんは博多織を着こなすはず」という人物像から出たアイデアです。

 

完成したロゴマークは、各改装店舗や新店舗のインテリアデザイン・施工を担当する会社にも渡ります。ここまでデザインコンセプトが明確になっていれば、私たちのほかのクリエイターや、多くの関係者が従事しても世界観がぶれません。白を基調としたなかに、「おふく大福」のロゴマークが映える、陽だまりのようなやさしい佇まいのインテリアが設計され、店舗の準備も進んでいきました。

 

また、博多人形の伝統工芸士・松尾吉将氏に協力を仰ぎ、「おふく大福」の「おふくさん」を博多人形にして、新しい店舗の店先に飾ることにもなりました。

 

出所:
[画像4]博多人形の伝統工芸士・松尾吉将氏によって形になった「おふく大福」のおふくさん 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

そのためには、松尾氏に「おふくさん」のイメージを伝えて人形の創作に反映してもらう必要があります。私たちは「おふくさん」のプロフィールや人柄を具体的にまとめました。

 

出所:
[画像5]博多人形制作のために「おふくさん」の人物像を詳細に記載したプロフィールシート 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

そのシートをもとに、社長自ら松尾氏のもとに何度も通って、コロナ禍で一大プロジェクトをスタートした思い、これからの如水庵のビジョン、「おふく大福」のコンセプトを話し、「おふくさん」のイメージをすり合わせていきました。

 

そうして出来上がってきた如水庵の「おふくさん」はブランドの人格化を超え、まるで「おふくさん」に生命が宿ったように生き生きとしたブランドの象徴になりました。

 

 

株式会社第一紙行 ブランディング事業部

※本連載は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋し、再編集したものです。

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