(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の理念や歴史、地域性を軸として商品を発信する「ルーツ・ブランディング」。唯一無二の企業へと成長するため、どのように商品の付加価値を高めているのでしょうか。株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、詳しくみていきましょう。

デザインという形にするために

一つ目は、「デザインコンセプトを明確にすること」です。デザインコンセプトとはデザインを制作する際の基本となる指針です。コンセプトが抽象的であればあるほど、それをデザインとして具体的に表現するためのキーワードが大切になります。

 

磨き上げたブランドのコンセプトを表現するために、どんな雰囲気にしたいのか、どの色を使いたいのか、何をモチーフにするのかをイメージしながらキーワードにしていくことで、デザインの方向性が固まってきます。

 

二つ目は「迷いを晴らすこと」です。デザインがしっくりこない場合、実は「心が納得していない」ということが多いのです。あれもこれも大事だから言いたい、でも全部詰め込むと何が言いたいのか分からない、その迷いがデザインに表れてしまうのです。

 

逆に「これだ!」という軸が明確になったとき、デザインも自ずとすんなり決まっていきます。

 

三つ目は「クリエイターと対話すること」です。デザイナーやカメラマン、ライター、それらのクリエイターを統括するディレクターは、「魅せる」表現をつくるプロフェッショナルとして多くのノウハウやスキルを持っています。デザインコンセプトも、それをデザインに落とし込む迷いも、クリエイターとの対話で明確になっていきます。

 

よくあるコンセプトとして「この商品の価値を20~30代の女性の感性に訴える」というものがあります。しかし、いまや年齢で趣向を分類することはできない時代です。そこでクリエイターは表現まで落とし込んでいくためにクライアントに次々と質問します。

 

「その感性とはどんな世界観なのか」「その感性を持った女性を有名人でたとえると誰か」など、対話を通してデザイン表現の方向性が定まっていくと同時に、コンセプトもブラッシュアップされていきます。

 

こうしたプロセスを経て独自性のあるブランドにしていくのが、ルーツ・ブランディングの「調べる」「磨く」「魅せる」です。

 

全体的なイメージとしては、花に例えると分かりやすいでしょう。根っこ=「調べる」(歴史・風土・思い・情熱・戦略)、幹・茎=「磨く」(磨かれる価値・貫かれるコンセプト)、花びら=「魅せる」(目に見えるデザイン・形・言葉)と、開花(=成功)といったイメージです。

 

第2ステップの「磨く」と第3ステップの「魅せる」については、両者を行き来しながら進めることも少なくありません。なぜなら、「魅せる」のツールを制作しても、すぐに「これでOK」になるとは限らないからです。これは決して失敗ではなく、必要なプロセスです。

 

「魅せる」のデザインを制作して納得がいかなければ、「磨く」に立ち返ってコンセプトを見直します。より納得できるデザインにするために大切なことです。形にしてみることでさまざまな気づきがあり、より良いコンセプトを発見できることもあります。

 

そのため、「磨く」の段階でとことんコンセプトを考えて行き詰まってしまったら、先に一度デザインしてみるのも一つの方法です。

 

 

株式会社第一紙行 ブランディング事業部

※本連載は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋し、再編集したものです。

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