提供する商品やサービスの価格設定は企業の命運を左右します。価格は、時代の潮流に合わせ、適切に設定する必要がありますが、いまのトレンドはどのようなものなのでしょうか? 本記事では、福山克義氏の著書『真剣にふざける 痛快に起業する「革命思考」』の一部を抜粋・再編集し、価格を決める経営者へ助言します。

高いものが当たり前に売れる時代に

京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者で日本航空の再生にも辣腕を振るった稲盛和夫氏も「値決めは経営である」と語っているように、経営者にとって、価格の決定は最大の決断である。適切な価格設定ができていないと、経営はうまくいかない。

 

価格決定に当たっては、一次情報、つまり自分自身の目で見て、触って、体験して得た情報が非常に重要だ。テレビ、新聞、インターネットなどの情報に頼るべきではない。大切なのは、人々の生活の変化を自分の目で見て、何をしたいのか、何が欲しいのかを感じ取ることである。

 

例えば、少し前までは「安くておいしい店」が人気の店になったが、今は「高くておいしい店」が支持されるようになっている。安売りをしても人は集まらなくなったのである。このことを、知っているではなく自分自身で体験、体感することである。

 

1万円の商品を7千円に値下げしても、売上は伸びない

実際、1万円の商品を7千円に値下げしても、販売数は1.5倍にならないと売上は伸びない。逆に、1万円の商品を1万2千円で売ったとき、販売数が減るどころか増える場合も多いのである。なぜなら、人々の価値観が変わってきたからだ。安いだけでなく、より良いもの、本物を求めるようになったのである。

 

アマゾンの販売者用管理画面では、自社の商品と競合する商品の販売個数を閲覧することが可能で、当社のガードナーベルトと類似品の販売個数はどれくらい違うのかチェックしたことがある。

 

すると、ガードナーベルトの価格は類似品の5倍高いにもかかわらず、個数では類似品の何百倍も売れていることが分かった。消費者は賢く、安かろう悪かろうのものは買いたがらないのである。

 

社会の階層構造も変化しており、中流階級の中でも上層の市場がいちばん大きくなっている。安売り競争に巻き込まれるのではなく、中流上層から富裕層をターゲットに、価値ある商品を適正価格で提供することが重要なのである。そのためには、自分自身がその価値を正しく理解し、体現していることが不可欠である。

会社を危険にさらす「安売り」

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私は、価格競争に巻き込まれるのではなく、お客さんに価値と感動を提供し続けることこそが、経営者の使命だと考えている。

 

安売りは長期的な視点に立てば、会社を危険にさらすだけだ。勇気を持って、品質にこだわった価格設定をすることが、結果的に売上と利益の向上につながるのである。
 

 

福山 克義

GMホールディングス株式会社代表取締役

ガードナー株式会社代表取締役

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※ 本連載は、福山克義氏の著書の『真剣にふざける 痛快に起業する「革命思考」』(幻冬舎メディアコンサルティング)の一部を抜粋・再編集したものです。

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