ホーチミン、国際的な金融拠点としての可能性は
ベトナムの計画投資省(MPI)は、ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市を国際金融センターとして発展させるための草案を発表した。草案では、ホーチミン市には、国内市場だけでなく、世界的な金融システムと結びつくために有利な条件が備わっていると述べられている。
MPIは、ホーチミン市を国際的な金融拠点に発展させるための明確な目標を掲げたロードマップに基づき、来年末までに市内に少なくとも1つの具体的な金融機関や施設が集まる金融地区を設立することを目指す方針を強調している。この短期目標に加え、長期的には、ホーチミン市全体を2035年までに国際的な金融センターに育て、2045年以降には世界トップ20の金融都市に入ることを目指している。
2025年末までに「金融センターに関する法律」が施行される予定で、この法律は国内における金融センターの発展を規定する法的基盤となる。また、東南アジアの新興経済への外国投資誘致に大きな役割を果たすことになる。
さらに野心的な目標として、フォーチュン500※にランクインする100以上の金融機関、世界の主要な国際銀行の半数、200以上の投資ファンドや資産運用会社をホーチミン市に誘致し、オフィスを設立させることを掲げている。
※フォーチュン500(Fortune 500):アメリカのビジネス雑誌『フォーチュン』が毎年発表する、売上高が最も高いアメリカの500社をランキング形式でまとめたリスト。
ファム・ミン・チン首相は、最近行われた提案の準備に携わる政策立案者との会議で、「このプロジェクトは挑戦的で前例がないものであり、慎重に進める必要がある」と述べた。
金融センター設立への道筋
政策立案者たちは、ホーチミン市に加え、中央海岸に位置するダナン市も地域の金融センターとして発展させる案について議論した。両都市は、ともに提案を提出する準備が整っている。
MPIは以前、複数の金融センターを同時に設立することは、資源の不適切な配分や好ましくない競争慣行につながる恐れがあると懸念を表明していた。唯一の例外は2つの金融センターを持つアラブ首長国連邦で、ほとんどの国では1つの金融センターに集中している。
そのため、ベトナムはまずホーチミン市を国際的な金融センターとして本格的に発展させることに焦点を当てるべきであり、ダナン市はフィンテックの試験環境として整備する方向で進むべきだとされている。この動きは、国会の特別措置に関する決議によってすでに実施されている。
グエン・チー・ズン計画投資大臣は、ベトナムが東南アジアにおける国際金融ハブとなることを長年検討してきたと述べ、現在こそ、その実現に向けた「絶好の機会」であると強調した。
「私たちにとって、この構想は多くの利点があります。国際金融センターを設立することは、国にとって非常に大きなチャンスをもたらします」とズン氏は語った。
同時に大臣は、積極的に行動することの重要性を強調し、経済が好調であり安定的な今こそ行動を起こすべき時であると述べている。また、ズン氏は中国、シンガポール、アラブ首長国連邦の主要な金融センターを複数回訪問し、提案の完成を加速するためのアイデアを直接国会に提供している。
投資家の期待
今年8月、国際機関の専門家や代表者が提案を検討し、多くの人々が投資を誘致し、長期的な発展を促進する革新的な政策を支持した。
「投資家は、政府が強いコミットメントを示し、提案が持続可能で魅力的な計画であることを確認できる明確な戦略を求めています」と、ベトナムの大物実業家で、地場コングロマリット(複合企業)のアイメックス・パンパシフィック・グループの会長であるジョナサン・ハイン・グエン氏は述べた。
MPIは、国際金融センターを成功裏に開発するためには、特にフィンテックのような新興分野において、国際的に成功した慣行を採用すべきだと述べている。ただし、その実施は慎重に計画され、段階的に進める必要がある。また、2つの都市の潜在力と競争力を慎重に考慮する必要があるだろう。
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