新たな法制度がもたらす“不動産市場の変革”
ベトナムの不動産市場は今年、大きな成長の転換点を迎えている。主な要因として、新たな法整備、海外直接投資(FDI)の増加、インフラの改善、そして投資家にとって魅力的なビジネス環境が挙げられる。
専門家によれば、これらの要因が相まって、国内外の投資家にとってより魅力的な市場環境が生まれると考えられる。
この楽観的な見方の背景には、取引の円滑化や市場の透明性向上を目的とした一連の改革がある。今年初めに施行された新たな法制度は、これまで投資の障壁となっていた土地利用権や所有権に関する問題を解決し、市場の信頼性を向上させる役割を果たしている。
また、経済成長、マクロ経済の安定、戦略的な都市計画、需給バランスの改善といった市場を支える要素も整いつつある。その中でも法制度の整備は特に重要であり、長年の規制上の課題を解決するために段階的な見直しが進められている。
2024年施行の新法、規制緩和と市場安定化を促進
不動産市場に関連する新たな法律が施行されており、すでに複数の政令や政策が導入されている。その中でも「2024年土地法」「住宅法」「2023年不動産取引法」は、昨年8月から施行されており、市場の近代化と取引の簡素化を目的としている。
特に2024年土地法は、旧来の土地価格評価制度を廃止し、価格表を毎年更新できるようにするなど、重要な改革を含んでいる。この法律により、地方政府は土地価格を柔軟に決定できるようになり、土地の有効活用や適正な配分が促進されることで、政府の歳入増加にも寄与すると期待されている。
また、こうした新たな規制は、不動産バブルの抑制や投機・価格操作の防止といった市場の安定化にも寄与するとされる。
経済専門家のカン・ヴァン・ルック氏は「市場はすでに最も困難な時期を乗り越えた」と指摘している。
また、総合不動産サービスを手掛けるDKRAグループの副総経理ヴォ・ホン・タン氏は「これらの法律の本格的な影響が見え始めるのは2025年になる」との見解を示している。施行から数ヵ月が経過しているが、世界経済の不透明感が市場の回復をやや遅らせているという。
一方、シンガポールに本社を置く東南アジア最大級の不動産テクノロジー企業、PropertyGuru Groupの一部門であり、ベトナム市場に特化した不動産情報を提供しているPropertyGuru Vietnamの副総経理グエン・クオック・アイン氏によれば、2024年に入り新築・中古物件の流動性が向上しており、不動産市場への関心が高まっている。
「市場への信頼感は回復しつつあり、2025年第2四半期には繁栄のフェーズに入る可能性が高い」(グエン氏)
