※画像はイメージです/PIXTA

賃貸アパートやビルなどの建物が建っている「貸家建付地」を相続した場合、相続税評価はどうなるのでしょうか。実は「貸家建付地の評価額」は通常の土地に比べ評価が低く相続税の圧縮につながるのだとか。税理士が解説します。

貸家建付地の相続税評価の応用

基本的な貸家建付地の相続税評価はご説明してきましたが、ここからは少し特殊なケースの貸家建付地の評価について解説を行っていきます。

 

親族等に貸している場合も貸家建付地評価が可能

親族に賃貸している物件についても、貸家建付地の評価は可能です。

 

後述しますが、貸付事業用宅地として小規模宅地の特例を適用するためには、この貸している親族から“相当の対価”つまり世間相場並みの賃料を受領している必要があります。

 

ただ、“相当の対価”を受領していなくても、貸家建付地評価を行える可能性はあります。

 

賃料が低いからといって、住んでいる者の借家権が生じていないとはえないからです。

 

但し、賃料がタダの場合は固定資産税相当額程度の場合には使用貸借と見なされ、借家権は生じず、よって貸家建付地評価もできませんので注意が必要です。

 

貸駐車場は貸家建付地評価ができない

貸駐車場については、貸家建付地評価はできません。

 

貸家建付地評価ができる大前提として、土地の上の建物が建っていて、その建物を利用する人の借家権が生じている場合です。つまり、いくら立派な車庫が建物の上に立っていても、借家権が生じていないような場合には貸家建付地評価はできません。

 

賃貸部分と居住部分が混在する場合

2階建の建物が建っていて、1階が自分の住まい、2階が賃貸で貸しているといった場合も想定されます。

 

そのような場合には、賃貸で貸している部分に相当する床面積の割合分の土地についてのみ貸家建付地評価適用可能となります。たとえば、100m2の土地の上に1階が50m2、2階が50m2の場合には、100×50÷100=50m2分の土地が貸家建付地評価の対象となります。

 

親から子に貸家の贈与があった場合

親が所有する上に子が建物を建築し、その子が第三者に建物を貸しており、親子間では地代のやりとりがない。こういったケースでは、親の土地の評価は自用地評価となります。貸家建付地評価はできません。

 

ただ、この地代のやりとりがない場合でも、例外的に貸家建付地評価ができる次のような場合があります。

 

親が土地と建物を所有し、そこで貸付事業を行っている状態で、建物部分のみを子供に贈与した場合。

 

その後、親子間では地代のやりとりがなく使用貸借になった場合においても賃借人(建物を借りている人)に変更がなければ、貸家建付地評価が可能となります。

 

ただ、賃借人に変更があった場合には、この貸家建付地評価は行うことができませんので注意が必要です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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