※画像はイメージです/PIXTA

賃貸アパートやビルなどの建物が建っている「貸家建付地」を相続した場合、相続税評価はどうなるのでしょうか。実は「貸家建付地の評価額」は通常の土地に比べ評価が低く相続税の圧縮につながるのだとか。税理士が解説します。

貸家建付地と小規模宅地等の特例

貸家建付地として評価した土地については、通常、貸付事業用宅地として小規模宅地の特例が適用可能となります。ただ、例外もありますので、ここでは貸家建付地と小規模宅地等の特例の関係について詳しく解説します。

 

貸家建付地は貸付事業用宅地として評価減が可能

貸家建付地評価として評価した土地は、通常は第三者に賃貸しており、事業として使用している土地となりますので、貸付事業用宅地として評価減が可能です。貸家建付地評価をした後の評価額に小規模宅地の特例の計算式を適用します。

 

但し、例外として、貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できない場合というのがありますが、それは次項で詳しく解説を行います。

 

貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できない場合

賃貸はしているが、受領している賃料が“相当の対価”と認められない場合には、小規模宅地の特例が適用できません。“相当の対価”とは、いわゆる世間相場並みの賃料です。第三者に貸すとした場合にはいくらで貸すかという判断基準です。実務的には、近隣で同程度のグレード・広さの貸部屋の賃料を平均したものと比較し大きくかい離していなければ問題ないでしょう。

 

小規模宅地の特例の適用要件として、“相当の対価”を得て、“継続的に”賃貸している必要があります。

 

ここで、賃料は受領しているが相当の対価を受領していない場合や、相続開始時点では賃貸していたが申告期限までに退去して空室になってしまった場合に、貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できなくなってしまいます。

 

賃貸割合が100%でない場合の小規模宅地等の特例の計算式

賃貸割合が100%でない場合の小規模宅地の特例の計算について、認識の誤りが多いので計算例で確認してみましょう。

 

【前提条件】

自用地評価額:4,000万円 面積:100m2

借地権割合:80% 借家権割合:30%

賃貸割合:50%

 

貸家建付地評価額 = 4,000万円 ×(1-1×80%×30%×50%)=3,520万円

 

ここで、

 

≪誤った計算式≫

3,520万円×50%(賃貸割合)×50%(小規模宅地の減額率)=880万円

 

と、小規模宅地の特例の減額分を算出する計算は誤りです。

 

正しくは、まず3,520万円を貸家建付地部分と自用地部分に分解します。

 

≪自用地部分≫

4,000万円×50%=2,000万円


≪貸家建付地部分≫

4,000万円×50%×(1-1×80%×30%)=1,520万円

 

ここで初めて、小規模宅地の特例の計算式を適用し

 

1,520万円×50%=760万円

 

が小規模宅地の特例の減額分となります。

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録