貸家建付地と小規模宅地等の特例
貸家建付地として評価した土地については、通常、貸付事業用宅地として小規模宅地の特例が適用可能となります。ただ、例外もありますので、ここでは貸家建付地と小規模宅地等の特例の関係について詳しく解説します。
貸家建付地は貸付事業用宅地として評価減が可能
貸家建付地評価として評価した土地は、通常は第三者に賃貸しており、事業として使用している土地となりますので、貸付事業用宅地として評価減が可能です。貸家建付地評価をした後の評価額に小規模宅地の特例の計算式を適用します。
但し、例外として、貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できない場合というのがありますが、それは次項で詳しく解説を行います。
貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できない場合
賃貸はしているが、受領している賃料が“相当の対価”と認められない場合には、小規模宅地の特例が適用できません。“相当の対価”とは、いわゆる世間相場並みの賃料です。第三者に貸すとした場合にはいくらで貸すかという判断基準です。実務的には、近隣で同程度のグレード・広さの貸部屋の賃料を平均したものと比較し大きくかい離していなければ問題ないでしょう。
小規模宅地の特例の適用要件として、“相当の対価”を得て、“継続的に”賃貸している必要があります。
ここで、賃料は受領しているが相当の対価を受領していない場合や、相続開始時点では賃貸していたが申告期限までに退去して空室になってしまった場合に、貸家建付地評価ができるが小規模宅地の特例が適用できなくなってしまいます。
賃貸割合が100%でない場合の小規模宅地等の特例の計算式
賃貸割合が100%でない場合の小規模宅地の特例の計算について、認識の誤りが多いので計算例で確認してみましょう。
【前提条件】
自用地評価額:4,000万円 面積:100m2
借地権割合:80% 借家権割合:30%
賃貸割合:50%
ここで、
≪誤った計算式≫
3,520万円×50%(賃貸割合)×50%(小規模宅地の減額率)=880万円
と、小規模宅地の特例の減額分を算出する計算は誤りです。
正しくは、まず3,520万円を貸家建付地部分と自用地部分に分解します。
≪自用地部分≫
4,000万円×50%=2,000万円
≪貸家建付地部分≫
4,000万円×50%×(1-1×80%×30%)=1,520万円
ここで初めて、小規模宅地の特例の計算式を適用し
が小規模宅地の特例の減額分となります。
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