叔母の面倒を一緒に看てきた叔母の妹・母が急死…相続人は全部で10人!?叔母は姪宛ての相続を希望…それでも養子縁組より公正遺言証書が得なワケ【相続の専門家が解説】

叔母の面倒を一緒に看てきた叔母の妹・母が急死…相続人は全部で10人!?叔母は姪宛ての相続を希望…それでも養子縁組より公正遺言証書が得なワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

母と一緒に母の姉である伯母の面倒を看てきた真理子さん(仮名)。伯母は母と真理子さんへの財産相続を希望していたものの、ある日母が急死…全部で10人いる相続人のなかから真理子さんへの相続を実現させるための方法には養子縁組と公正遺言証書の作成、二つの方法があるそうで。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)はどちらの方法を提案したのでしょうか。

養子縁組の申請を出していいのか?

そうしたことからも伯母の介護は母親と真理子さんが引き受けていく暗黙の了解ができていました。伯母からも母親と真理子さんに頼むと言われていますし、伯母はМさんと養子縁組してもよいとも言ってくれています。

 

養子縁組すれば、戸籍上、真理子さんは伯母の子どもとなりますので、きょうだいに相続権が発生することはありません。この養子縁組の申請書は伯母もМさんも記入が終わっていて、いつでも出せる状態だといいます。

 

この養子縁組の申請を提出したほうがいいか? ということもご質問のひとつでした。養子縁組をしない場合は、遺産分割協議が必要になりますが、人数が多いと大変です。

 

伯母の意思は財産は真理子さんに渡すとのことで固まっているというので、遺言書を作成する方法も取れます。

養子縁組?遺言書で遺贈?メリット・デメリット

養子縁組のメリットは、相続人がひとりになり、争いはなくなります。デメリットは相続税の基礎控除が1人分の3,600万円しかありません。

 

遺言書のメリットは遺産分割が不要で伯母の意思が実現できます。きょうだいしまいには遺留分の請求権がないので相続の仕方が確定できます。基礎控除は法定相続人分をカウントできるので、9,000万円のまま。デメリットは遺言書の作成に費用がかかり、証人も必要になります。

相続税がどれくらい違うか?

それぞれの相続税の概算を比べてみました。

 

財産は9,400万円

 

相続人1人・養子縁組→ 相続税1,040万円

 

相続人10人・遺言書→ 相続税40万円

 

基礎控除が9,000万円あるのと、3,600万円しかないのとでは、相続税は養子になってしまうと26倍になるのです。

 

このように相続税を比較すると、争いを避けるためによかれと思って養子縁組をすると、思わぬ落とし穴で相続税が跳ね上がるということが想定されました。この内容を伯母にも説明し、公正証書遺言を作る方向で決まりましたので、準備を進めています。

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