実家で母と兄夫婦と暮らしていた貴美子さん(50歳)。まさかの兄の急死で相続トラブルが勃発しました。ある家族に起こったまさかの相続トラブルについて、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。
父親の相続で自宅は長男に
貴美子さん(50歳・女性)が母親(85歳)のことで相談に来られました。母親の遺留分対策のことです。遺言書は作成しているが、遺留分はどの程度になるか、目安を知りたいということです。
父親は8年前に亡くなっています。相続人は母親と兄と貴美子さんの3人。父親の財産は自宅と預金で当時の基礎控除8,000万円以内だったため、相続税はかかりませんでした。
父親は検診でガンが見つかり、1年ほどの闘病で亡くなってしまいましたので、遺言書はありませんでした。
長男家族が同居していましたので、母親の二次相続を考えると、自宅はいずれ兄が相続するのであれば、母親の名義にはしないで兄名義にすればいいと3人とも合意できましたので、遺産分割協議でそのようにしました。預金は法定割合で分けています。
母親よりも兄が先に亡くなった
父親が亡くなってからc回忌も過ぎ、平穏に日々を過ごしていましたが、3年前、52歳の兄が急死したといいます。病気もしたことがなく、地方公務員として忙しく働いている最中。心筋梗塞で、その日の朝まで普通の生活をしていたのに、と貴美子さんは母親から聞かされました。
兄は30代後半で結婚したので、3人の子どもはふたりが小学生、上が中学生でした。兄嫁はほんとうに予想すらしないことで混乱しつつも相続の手続きを進めたと言います。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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