「自分から始めない限り成功はあり得ない。金を儲けるには自分から始めなければだめだ」
ウォーレン・バフェットは幼い頃から小さなビジネスを始め、手にした現金は家の机の引き出しにしまい、時々、銀行に預けていました。少しずつ増えていく金額を見ては喜んでいたバフェットは10歳の時に父親に連れられて、ニューヨークの証券取引所を訪ねます。
そしてそこで会員たちが自分好みにあつらえさせた葉巻を吸っているのを見て、自分も「自分のために、自分がやりたいことをできるようになりたい」と考えるようになります。そのためには「お金持ちになる」ことが必要だと目標を定めます。
しばらくしてオマハの図書館でぴったりの本を見つけます。タイトルは『1000ドル儲ける1000の方法』です。一つ一つの利益は1000ドルとしても、それを1000個すべて実行すれば、100万ドル儲かります。
かつて日本にも「100万ドルの夜景」といった言い方があったように、当時、100万ドルは大金であり、お金持ちを象徴する金額でした。実際、バフェットも10歳の頃に「35歳までに100万長者になる」と宣言して周囲を驚かせています。
それにしてもバフェットはこの本の何にそれほど惹かれたのでしょうか。本の最初のページにこんなことが書いてありました。
「自分から始めない限り成功はあり得ない。金を儲けるには自分から始めなければだめだ。この国の何十万人もの人々は、大金を儲けようと思っているのに、あれやこれやいろいろなことが起きるのを待っているから儲けられない」
世の中に「お金持ちになりたい」と願わない人はほとんどいません。では、そのために何をするかというと、たとえば宝くじを買って当たるのを願うといった「一攫千金」を期待する人は多くとも、1000ドル儲ける方法を1000個試そうとする人はほとんどいません。
バフェットは言います。「来週抽選が行われる宝くじと、少しずつ金持ちになるチャンス。人は多分、前者の方に可能性を感じてしまうのでしょう」
バフェットについてよく言われるのは、宝くじを買って幸運を願うよりは、宝くじを売る方に回るだろう、と。
バフェットは『1000ドル儲ける1000の方法』を読み、何もせず幸運を願うのではなく、「自分から始める」ことの大切さを知り、そしてすぐにできる実用的なビジネスを一つ一つやってみるようになります。
成功する、お金持ちになるためには何より「やってみる」ことが大切だったのです。
バフェットのルール
座して幸運を願うのではなく、できることから始めよう。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト