現役バリバリ、驚異の90代ウォーレン・バフェット
ウォーレン・バフェットは1930年8月生まれですから現在、94歳です。そして今でも変わることなくバークシャー・ハサウェイの経営に関わり、株主総会では数時間に及ぶ株主との質疑応答もこなしています。
多くの高齢者にとって寿命と健康寿命にはズレがあり、年をとればどうしても病気になりがちですし、認知症などの問題も起きるわけですが、バフェットの場合は変わらず健康で職務をこなす、まさに「驚異の90代」と言えます。
1990年代、70代の頃に、その秘密の一端を明かしています。こんな趣旨です。
バフェットが16歳の時、精霊が目の前に現れて、「ウォーレン、何でも好きな自動車をあげよう。明日の朝には、大きなリボンをかけた自動車がここにあるはずだよ。新車で、すっかり君のものだ」と伝えます。
とても嬉しい話ですが、そこには1つだけ条件が付いていました。それはその車は一生で最後に手に入れる車であり、人生の最後まで乗り続けることになるものでした。では、貰った車をどうするか、というのがバフェットの問いです。
バフェットによると、取扱説明書を何度も読み、車はずっとガレージにしまっておき、へこみや擦り傷ができたら、すぐに直します。一生乗り続けるのなら、とても大切にします。
こう続けます。「頭脳と肉体に関して、みんなはそれと同じ状態にあるんだ。頭脳も肉体も1つしかない。それを一生使わなければならない。ただ長い間、乗り回すだけなら楽なものだ。しかし、頭脳も身体も大切にしないと、40年後に自動車と同じようにぼろぼろになる。それが今から、今日から、やらなければならないことだ。10年、20年、30年後の頭脳と肉体の働き具合が、それで決まるんだよ」
人生を謳歌し、健康と肉体を大切にすることが長生きの秘訣
バフェットは1日にチェリー・コークを5本も飲み、「もしも私がブロッコリーと芽キャベツだけを食べていたら、こんなに長生きできていなかっただろう」と言うほど、好き嫌いの多い人です。
にもかかわらず、「もし人生を謳歌することで長寿が促進されるとすれば、メトセラ(旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」のノアの祖父。969歳まで生きたと言われている)の記録さえ破れそうな勢いです」と言うほど「長生き」に強い意欲を示しています。
いくらお金があっても健康を損なっては意味がありません。長くお金持ちでいるためにはバフェットの言うように頭脳と肉体を大切にすることが必要なのです。
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト