焦るな、ゆっくりと、しかし長くお金持ちでいよう
アメリカン・ドリームというと、どうしても若くして起業して成功、驚くほどの大金を手にする人たちを思い起こしてしまいます。
スティーブ・ジョブズは21歳の時にアップルを起業し、25歳でアップルが株式公開をしたことで、「自力で財を成して億万長者になった史上最年少記録」を打ち立てています。
こんな言葉を口にしました。
「23歳の時、資産価値は100万ドルだった。24歳で1,000万ドルを超え、25歳で1億ドルを超えてしまった」
ジョブズが億万長者になったのは1980年のことですから、年代が違うため単純に比較することはできませんが、ウォーレン・バフェットが1956年にグレアム・ニューマン社を辞め、オマハに帰った時、26歳のバフェットの推定資産は14万ドルです。
これでもバフェットが目指す「35歳で100万ドル」は十分に達成可能な数字でしたが、ジョブズたち起業家と比べればアメリカン・ドリームにはまだ遠い数字と言うほかはありません。
しかし、今やバフェットの資産は1,000億ドルを超え、アマゾンやグーグル、フェイスブックの創業者たちと肩を並べるものとなっています。
急いで金持ちになるか、ゆっくりとでも確実に金持ちになるか
バフェットには「グレアム・ドット村」と呼ぶ、グレアムの影響を受けた投資家たちの仲間がいました。ウォルター・シュロスやトム・ナップなど、それぞれやり方は少しずつ違っても、根底にはグレアム流の理論があり、それぞれが投資で成功しています。
1968年、バフェットはグレアムの門下生に同窓会をやろうと呼びかけます。当初、倹約家のバフェットはホリデイ・インで開こうとしますが、みんなに反対され、サンディエゴ湾に面した、映画「お熱いのがお好き」が撮影されたホテル・デ・コロナドに集まり、2日間、相場について話し合っています。
チャンスの少なさを嘆く声が多かったものの、誰もが成功への道を歩んでいました。バフェットはメンバーについて「初めて会った時は、みな小金持ち」という感じだったが、「今は全員が大金持ち」と感想を口にし、「グレアムのお陰」と感謝します。
バフェットたちが行っているグレアムの理論をベースとした投資は派手さはないものの、みんなが確実にお金持ちになることのできるやり方でした。お金持ちになりたいと願う人は多いとはいえ、大切なのは急いで金持ちになるか、ゆっくりとでも確実に金持ちになるかで選ぶ道は変わってきます。
「焦らずとも小金持ちを経て大金持ちになる方法はある。」
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト