専門情報の宝庫「TCK経営指標(BAST)」のデータ
たとえば私はTKC全国会という公認会計士・税理士の全国組織の会員になっています。その母体である会社TKCが提供するTCK経営指標(BAST)というものがありますが、これは会員のみに提供されています。
このBASTは専門情報の宝庫です。TKC会員の関与先企業の経営成績と財政状態を分析した中小・中堅企業約23万社の決算書がベースとなっています。分析は59項目にわたってなされているため、非常に精緻なデータと言えるものです。
このデータをベースとして私たち公認会計士・税理士が同業種の優良企業、黒字企業との業績比較を行うことで、調査効率は格段に上がっていきます。もちろん、このデータが優れていることが大前提ですが、何よりもそこに経験とノウハウ豊かな専門家の視点が加わり、情報を読み解くことにより様々なことが見えてくるのです。
いくら優れたデータがあっても、それだけではただの数字にすぎません。使いこなすことができなければ、データが持つ本来の価値を発揮することは不可能です。
中小企業庁にも利用されている「経営自己診断システム」
また、専門機関として独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)も利用価値の高いものとして紹介しておきます。
この機関は中小企業施策の総合的な実施機関としての役割を担うために、平成16年に設立されました。
中小機構では経営自己診断システムというものを提供しています。これは、決算情報を入力することで、自社の財務指標値(収益性、効率性、生産性、安全性、成長性)、業界内での位置を把握することができるシステムです。このシステムは一般社団法人CRD協会に蓄積された150万社以上の中小企業の財務データをもとに作成されています。
ちなみに、このデータは中小企業庁による中小企業の財務指標の作成に利用されるものです。経営危険度の点検や個別指標の解説を通してフィードバックを行えるものですから、こちらも非常に有用性が高いシステムといえるでしょう。