前回は、後継者の「性格」等を分析しておくことの重要性を説明しました。今回は、後継者の性格・能力をもとに「会社の方針」を決める方法を見ていきます。

後継者の強みを生かす方向で、今後の方針を決める

前回説明したような分析結果を元に、会社の今後の方針を決めていきます。この段階になると、既に新経営理念については現経営者と後継者の間で十分な検討がなされ、概ね固まっているでしょうから、それを土台に考えることができるはずです。

 

ここまでに後継者の能力、経歴、性格について分析検討が済んでいますが、その結果から、経営者としてやっていく上での後継者が持っている強みと弱みが明らかになるはずです。

 

すべてを底上げしよう、後継者を万能な経営者にしようとすると必ず失敗します。ここではどうすれば後継者の強みを活かせるか、さらに伸ばせるかを念頭に置き、今後の方針を決めてください。

 

強みを活かすということは、何よりも後継者の経営に対するモチベーションに大きく作用し、積極性も一層高まるはずです。

後継者の「弱み」は、次世代幹部社員や外部の力で補う

弱みのない、またはほとんど見当たらないオールマイティな後継者はまずいません(もし、分析した上で弱みが見つからないのは、あるいは分析不足と言えるかもしれません)。

 

では弱みはどうやって補うのか。そのまま目を瞑っておいてもよいものなのかは、誰もが疑問に感じる部分でしょう。

 

しかし、答えは簡単です。次世代幹部社員や外部の力を借りて補えばよいのです。事業承継が決まった早い段階から、後継者の分析をするのはこのためでもあります。欲張りすぎない、すべてを達成しようとしないという姿勢は、事業承継という作業に一貫して通底する姿勢です。

 

できること、やるべきことはやる。しかしそれ以外は他人や外部に委ねていく――それが短期間で事業承継を達成するだけでなく、後継者による今後の経営においても重要になってくるといえます。

本連載は、2016年6月24日刊行の書籍『たった1年で会社をわが子に引き継ぐ方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

たった1年で会社を わが子に引き継ぐ方法

浅野 佳史

幻冬舎メディアコンサルティング

近年、日本の多くの中小企業が承継のタイミングを迎えています。承継にあたっては、親から子へと会社を引き継ぐパターンが多いのですが、親子間だからこそ起こるトラブルがあることを忘れてはいけません。 中小企業白書による…

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