現経営者による評価方法の共有は、後継者の貴重な経験
前回の続きです。次に従業員の評価方法や評価基準を後継者と共有してみてください。
たとえば、後継者が現経営者に「なぜこの人は役職に就いているのか」ということを聞けば、ある程度まで現経営者の評価方法がわかってくるはずです。「この人はとにかく営業ができる」「この人はメインのお客さんを押さえている」など、現経営者の評価方法を共有するのは後継者にとって貴重な経験となります。
こうした評価方法や評価基準は、先ほどの従業員の強みとも大きく関わっています。なぜこの従業員を評価しているのかという軸は、どういった強みを持っているのかということと、大部分がリンクしているのです。
ただし中小企業で意外に多い「仕事ができるから役職に就いている人」には注意が必要です。何か強みを持っているという一点だけが理由で、管理職になっている人材に思い当たることはないでしょうか。営業であれば、「成績がいい」という条件のみで役職に就いている人が多いものです。ただし、性格的には一匹狼タイプで、マネジメントはおろか、部署内での人間関係もお世辞にもいいとは言えないという場合がよくあります。言わば、一匹の狼の下に羊がたくさんいる状態で、会社のある部門が成り立ってしまっているのです。
現状の評価方法をどこまで把握・明文化できているか?
また、工場長や生産管理部長といった役職の人も、実は生産管理業務に長けているだけ、つまり機械の回し方やメンテナンスが上手なだけである場合もあります。
現状の評価方法については一体どこまで把握し、明文化できているでしょうか。もし、明文化できないような、流動的で曖昧な評価方法であるとすれば、大きな問題と言えます。
つまり、それは現経営者だからこそ会社をマネジメントできているに過ぎず、一般的にはそんな評価方法ではマネジメントなどできない可能性が非常に高くなる証拠です。