経済政策全般について当面は岸田政権のスタンスを継承
では増税論はどうか。これは岸田政権のときに市場の拒否反応を経験しているので、同じ過ちを繰り返すとは思えず、早晩、増税の主張を封印するだろう。石破氏は岸田政権の資産運用立国などの方針は継続すると表明しており、経済政策全般に当面はドラスティックなものは出てこないと思われる。
その背景は2つ。いちばん大きいものは、石破氏の勝因は「岸田派」の票が回ったからという点である。今回の総裁選は「派閥なき総裁選」と謳われたものの、結局、決め手になったのは「派閥」の力だった。石破氏は岸田さんの政策を継承するしか選択肢はなく、岸田政権で最も成功とみなされる資産運用立国の方針に水を差すような真似はできないということだ。
次に、今回の総裁選はそもそも自民党の人気が凋落し、このままでは選挙を戦えないので選挙の顔となる看板を変えようというのが趣旨だ。選挙をにらんでの人気回復が至上命題であり、国民に不人気な政策は(少なくともすぐには)実行しないだろう。金融所得課税は一部の富裕層だけが対象になるので、数を重視するポピュリズムでは問題にならないという面もある。しかし、いまや新NISAやイデコなどで投資が広く一般にも普及している。金持ちを叩いても人気取りにはならず、それで株式市場を下落させれば、かえって一般大衆の人気も失うのである。そのあたりのことはわかるだろう。
よって石破氏は、経済政策については岸田政権の政策スタンスを継承し、当面はなにも行わず、本人の思い入れがある地方創生と防衛に注力するものと考える。
まずは「国民に信を問う」衆院選で自民党がどのような勝ち方(負け方)をするか、それを見極めることが肝要だと思われる。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
注目のセミナー情報
【海外活用】12月7日(土)開催
従来の分散投資で資産を守れるのか?
新時代の富裕層が実践する
金融大国「シンガポール」や「フィリピン永住権」を活用した新・資産防衛法
【国内不動産】12月7日(土)開催
元サラリーマン大家の現役投資家社長が伝授…
インバウンド需要を逃すな!
《札幌・民泊投資》で勝ち組になる方法
【国内不動産】12月7日(土)開催
超・減価償却「築古アパート投資」の新発想!
〈節税+家賃収入+売却益〉投資元本2倍のしくみを大公開!
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】