本記事のポイント
・為替は中長期にわたる円買いのピークアウト
・日米の金融政策は真逆ながらペースダウン
・「グローバル景気敏感株」の日本株に買いが向かう
為替は中長期にわたる円買いのピークアウト
9月25日公開記事『FOMCでトドメ…「円高の限界」が見えた理由【ストラテジストが解説】』で述べたとおり、日本株は上昇基調を鮮明にしている。記事ではこう述べた。
足元の為替の動きは円高一服というような短期的なものではなく、より中長期にわたる円買いのピークアウトだと考える。その背景は、唯一の円買い材料といっても過言ではない「日米の金融政策の方向感が真逆」というロジックが修正を迫られているからだ。金融政策の方向感が真逆であることに変わりはない。問題は、その進展速度が想定よりも緩慢になるということである。
日米の金融政策は真逆ながらペースダウン
FOMC(米連邦公開市場委員会)のドットチャートで示された2025年の利下げ見通しは年末までの累計で1%。ざっくり四半期ごとに0.25%の利下げという示唆なら、そのペースは市場の期待よりゆっくりだ。今回の大幅利下げは「後手に回らない」ための予防的な措置であり、それによって米国経済は景気後退が避けられ、ソフトランディングの可能性が高まる。結果として長期金利は上昇し、ドルもサポートされるということになる。
日本の状況からも為替シナリオの修正要因があった。金融政策決定会合後の記者会見で上田総裁は「時間的余裕がある」と発言。換言すれば、円高になったいまは円高阻止の利上げを急ぐ必要はなくなったということである。
まとめると、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げを急がないし、日銀も利上げを急がない――金融政策の方向は真逆ながら、その進み方は大幅にペースダウンする見通しとなった。円高に歯止めがかかるのは当然だ。9月26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=145円台に下落した。円高一服を受けて、自動車など輸出関連株が買われたほか、マイクロン・テクノロジー[MU]の決算を受けて半導体関連株も大幅高となった。
足元の日本株は円安、半導体などのテーマで上がっているように見えるが、もっと大きい背景がある。
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