(※写真はイメージです/PIXTA)

日本のサラリーマン、平均的な給与はどのくらいなのだろうか。国税庁のレポート「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のなかで正規社員の平均給与は530万円。非正規社員の平均給与は202万円である。「平均」というものは、ピラミッドの上にいる大きな数字が押し上げるものであるから、実際にはこの額より少ないという人も多いであろう。さらに言えば、税引き後の「手取り額」でいうともっと少なくなるはずだ。懸命に働くサラリーマンのリアルを見ていこう。

「生活さえできていれば、貯蓄しなくても」は無理

「生活さえできていれば、無理に資産を増やす必要はないだろう」という考え方もある。しかし、金融庁の「老後資金2,000万円不足」報告書の問題にあったように、国は警鐘を鳴らしている。この先、満足に生活すらできなくなるかもしれない。すなわち、年金が足りないのだ。

 

厚生労働省が運営するホームページ『いっしょに検証!公的年金』には、将来年金がどのくらいもらえるのか、モデルケースで質問に答えている。

 

“厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.5万円(2021年度)になります。”

 

平均収入が月43.9万円、この時点で正規社員サラリーマンの平均給与よりも高いのだが、それでも月額で手に入る年金は「約15.5万円」。初任給よりも減ってしまうのであるから、貯蓄がなければ生活が成り立たないのは明らかだ。

子供の教育、親の介護でパンクは必至

「老後資金2,000万円くらいなら、普通に貯まるだろうと思っていました。ですが、子供の教育費に想像以上の金額がかかり、かなりきついです。大学まですべて公立で……と考えてましたが、そんなにうまくいくものじゃありません。とはいえ大学までは出させてあげたいという親としての愛情は、貯蓄をしなければという気持ちにどうしても勝るものです」

 

そう語るのは東京都在住、36歳の高嶋さん(仮名)だ。子供が大学を卒業するころには親の介護も待っているだろうと不安に思っているという。

 

「親は個人事業主であったため、年金は少なく、資産もありません。介護施設に入ることになったら、私が出さなければならないと考えています。仕事があるので、自宅に引き取り、在宅介護をすることはできません。ここでも、自分の将来に備えた貯蓄はできないのではないか?と不安は増すばかりです」

 

実際に、介護施設にはどの程度の費用がかかるのであろうか。

 

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