目が回る忙しさです…術後患者の様子見、車椅子事故を防ぎ、複数患者の食事介助・歯磨きを同時進行。“高齢化社会の看護師”の理想と現実【医学博士が解説】

目が回る忙しさです…術後患者の様子見、車椅子事故を防ぎ、複数患者の食事介助・歯磨きを同時進行。“高齢化社会の看護師”の理想と現実【医学博士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

人命を預かるという点で、特に責任が重く、ミスが許されないプレッシャー下で働く看護師たち。高齢化が進み医療現場の逼迫が進み、患者の個々の状態に合わせた医療が重視されるようになるなか、看護師の業務量は増える一方です。本記事では、青柳智和氏の著書『看護師2.0 逼迫する医療現場に求められる これからの看護師の役割』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し、看護師の実態について、解説します。

とにかく仕事が終わらない看護師たち

医療において安全性の確保は最優先されるべきといってよいと思います。その医療が高度化、複雑化、細分化しているために、医療安全の観点からも気をつけるべき点が増え、医療従事者が行わなければならない手続きなども増えているのは確かであり、看護師も例外ではありません。

 

看護記録や問題点の抽出、看護必要度、コストや膨大な量の同意書、そして手術や検査に向かうためのカルテの整理、消耗品などの伝票起票など、患者には見えないところで看護師はさまざまな事務作業に時間を費やしています。看護補助者に任せられる項目もありますが、配置できる人員数には上限があり、十分とはいえません。

 

看護師は常にマルチタスクであり、しかも患者の急変などの緊急性の高い業務が立て続けに発生することも多いため、そのたびに目の前の業務を中断することになり、じっくりと落ち着いて一つのことに集中することが困難です。何度も中断し仕事が細切れになると、ほかの仕事の内容と混同したりさっきまで取り組んでいたことの記憶があいまいになったりするため、ミスも起こりやすくなります。

 

患者も一人で何人も担当することになりますし、一人ひとり薬や点滴の内容も違うため、時間に追われながらの看護はやはりミスを招きやすくなります。そこに輪をかけるように細かい書類仕事が加わっているのが昨今の看護事情です。

 

看護師の細かい書類仕事が増えたワケ

その背景には、患者の個々の状態に合わせた医療、すなわち個別化医療の考え方が重視されるようになり、患者に関する記録や看護計画も以前より綿密に、その患者特有の事情なども盛り込み作成することが求められるようになってきたことなどがあります。患者のためとはいっても、書類に記載すべき情報量が増えたことが業務の煩雑化、膨大化を招くことになったのは否めません。

 

責任を負わなくていい職業、仕事などありませんが、人の命を預かるという点において看護師は特に責任の重い仕事であり、ミスが許されない重圧感もあります。経験を重ねるにつれ慣れていくこともある一方で、受け持つ患者の数が増えたり、後輩の指導を任されたりするなど、責任の範囲も広くなっていきます。

 

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※本連載は青柳智和氏の著書『看護師2.0 逼迫する医療現場に求められる これからの看護師の役割』(幻冬舎メディアコンサルティング)の中から一部を抜粋・再編集したものです。

看護師2.0 逼迫する医療現場に求められる これからの看護師の役割

青柳 智和

幻冬舎メディアコンサルティング

急速に進む超高齢社会と医師不足、医師の偏在という課題に直面する医療現場では、看護師の役割拡大が急務となっています。これまで看護師の役割は、患者の症状に異変が生じた際に医師の処置を補助するというものでした。しかし…

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