近年、高齢化によって日本の医療システムの存続が危ぶまれています。特に、病院で介護が必要な患者たちの対応する看護師たちの負担は増加するばかりです。本記事では、青柳智和氏の著書『看護師2.0 逼迫する医療現場に求められる これからの看護師の役割』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋・再編集し、超高齢社会の日本における医療現場の現状を解説します。
高齢化で危ぶまれる医療システムの存続
日本人の平均寿命は右肩上がりを続けています。およそ半世紀前には60代半ばだった平均寿命が、2021年には男性81.56歳、女性87.71歳と20歳前後も延びており、日本人の人口を占める高齢者の数も年々上昇してきました。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者は2020年時点で3600万人を超え、戦後間もない1950年には5%にも満たなかった高齢化率は28.6%にまで上昇しています。また、75歳以上のいわゆる後期高齢者が全人口に占める割合も増加の一途をたどり、2050年には25%に迫ると見込まれています。
高齢者の数が年々増加していることを懸念して、昨今では「2025年問題」の話題がメディアでさかんに取り上げられています。2025年に団塊世代(日本の終戦後1947~49年にかけて生まれた世代)が一気に後期高齢者となることで、社会保障、主に医療・介護、年金などが限界に達し、社会全体に負の影響がもたらされると考えられています。このように高齢化の影響は医療や福祉などの社会保障にもおよび、少子化の影響も相まって、いまや日本の医療システムの存続が危ぶまれているのです。
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医学博士
1976年生まれ。高校卒業後に准看護師を経て看護師となり、水戸済生会総合病院(茨城県)で循環器内科病棟、手術室、集中治療室、救急外来などを経験。2006年に株式会社ひとりガウン(現株式会社ラプタープロジェクト)を起業し、学生時代の知識を臨床用に切り替える「出直し看護塾」を開始し、延べ10万人を動員。2013年東京医療保健大学大学院高度実践看護コースへ進学。看護学修士、診療看護師(日本版ナースプラクティショナー)となり、2016年近森会近森病院(高知県)で中四国初の看護師特定行為研修センターを立ち上げる。2018年水戸済生会総合病院で茨城県2番目となる特定行為研修センターの設立、運営に関わり、病院および個人に対して看護師特定行為研修の実施および、コンサルテーションを実施。『洞察力で見抜く急変予兆』は販売部数4万部のベストセラー。高知大学大学院修了、医学博士。
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