近い将来、米国経済は景気後退する?しない?…過去の「失敗」からヒントを探る【マクロストラテジストが解説】

近い将来、米国経済は景気後退する?しない?…過去の「失敗」からヒントを探る【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

貿易赤字を拡大させた「資本移動の自由」と「高金利」

たとえば、1980年代当時、日本企業が貿易黒字で得たドルを次から次へと売却しようとし、なおかつ日本国内でもドルの需要が乏しければ、ドル安・円高になって、米国の貿易収支の赤字幅は縮小したかもしれません。

 

同時に、日本の企業や金融機関が米国債を買う量も減るので米国の金利が上昇して米国の内需が抑制されることで、やはり日米の貿易不均衡は早めに一部是正され、「ドルや米国債のハード・ランディング」が懸念されることもなかったかもしれません。

 

ただし、もし、日本の輸出企業が「円には換えず、ドルのままで保有したい」と思ったり、日本の輸出企業がドルを売るときに日本の金融機関や投資家がちょうど「ドルを欲しい」と思えば、ドル安・円高にはなりません。

 

あるいは、日本の輸出企業も「ドルで持ちたい」と思い、日本の金融機関や投資家も「ドルを欲しい」と思えば、ドル円には上昇圧力が生じます。

 

当時、この役割を果たしたのが、米国の高金利でした(→いまもそうです)。日本の企業は貿易で得た巨額のドルを売却せずに、また日本の金融機関も米国債の保有を拡大しました。

忖度であり、支援であり…そして、「ブラックマンデー」へ

当時をふりかえる複数の書籍には、1980年代当時の本邦の金融機関は「護送船団方式」の下で、米国債の入札のたびに大蔵省から本邦金融機関の投資部門に「ヒアリング」と称する電話が入り、実質的に米国債の購入を促す「指導」が行われていたとの記述があります。

 

これを聞いて「いまも昔も同じだな……」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

いずれにせよ、米国は、高い金利によって、日本からの資本フローを呼び込むことで内需や輸入の一部をファイナンスしていました。

 

もちろん、ドル安・円高は、日本の輸出企業にとっては米国内での販売シェアや収益を失うことにつながるわけですから、日本の輸出企業には「ドルを売却しないことで、ドル安・円高を招かない」インセンティブがあります。

 

まとめれば、米国には「高金利で日本からの資本流入を促し、旺盛な消費を続けたい」という思惑があり、日本には「ドル高を維持して、日本の製品を買い続けてもらいたい」という思惑があったでしょう。

 

言い換えれば、「米国の高い金利が日本勢によるドル保有を誘ったのか、日本企業がドル安・円高を恐れて、ドルのままで保有したのか」というのは、両面あるでしょう。

 

ただ、①1970年代までの資本規制が維持されているか、②日本企業が早々にドルを売却していれば、実際に生じた水準よりもドルは低く、米国の金利は高く、おそらく国際収支の不均衡はいくぶん規模が小さかったことに疑いはないでしょう。

 

いずれにせよ、当時懸念されていたのは、アメリカの経常収支や貿易収支の赤字が持続不可能だと認識され、ドルや米国債が売却され、アメリカから資本逃避が起きることでした。

 

このハード・ランディングが現実化したといわれたのが、1987年10月のブラックマンデーでした。

 

<<レポート全文はコチラ>>

 

 

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

注目のセミナー情報

【海外不動産】12月18日(木)開催
【モンゴル不動産セミナー】
坪単価70万円は東南アジアの半額!!
世界屈指レアアース産出国の都心で600万円台から購入可能な新築マンション

 

【事業投資】12月20日(土)開催
東京・門前仲町、誰もが知る「超大手ホテルグループ」1階に出店!
飲食店の「プチオーナー」になる…初心者も参加可能な、飲食店経営ビジネスの新しいカタチとは?

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【ご注意】
※本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録