(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿大国の日本では“長生きリスク”という言葉も生まれるほど、老後の期間が延びています。定年後は現役時代のような収入が望めない以上、家計の変化には細心の注意を払わなければなりません。しかし、それでも、老後のマネープランが崩れてしまう原因は思わぬところに潜んでいるものです。サウナ通いが老後の楽しみだったAさんの事例をもとに、牧野FP事務所の牧野寿和CFPが解説します。

20分でやめるぞ… “禁断の楽園”に足を踏み入れたAさん

次の送迎バスまで、約25分。Aさんは、「子どもたちも独立したし、俺は意志の強い人間だ。さくっとやって、20分で戻ってこよう」と、30年ぶりのパチンコ店に吸い込まれていきました。

 

数時間後。店から出てきたAさんは、思わず天を仰いでしまいました。久しぶりにパチンコをしたAさんの感想は、「あのころとは使うお金がひとケタ違う」です。たった数時間でサウナ代1ヵ月分の約4万円を失ってしまいました。

 

翌日以降のAさんは、パチンコで損したお金を取り戻そうと、サウナどころではありません。妻には何食わぬ顔で「今日も健康ランドへ行ってくるから」と言って家を出ては開店前からパチンコ店に並ぶ日々。

 

しばらくは妻にバレないよう午後からはサウナに行くなど、偽装工作にも余念がなかったAさん。しかし、負けが込んでくるとサウナへ行くことも忘れ、妻から不審がられることも増えてきました。

 

また、パチンコでの負け額が増えていくにつれ、さらに大きなリスクを追って一発逆転を狙うようになったAさんは、パチンコだけではなく、競馬にも手を出してしまいました。最初こそビギナーズラックで大穴を当てたAさんでしたが、その後は負けるばかりです。

 

こうした生活を続けた結果、Aさんの預金残高は、退職後1年も経たないうちに1,000万円を切っていました。

 

次第にAさんの形相も変わり、嫌な予感がした妻はAさんに尋ねました。「ねえあなた、まさか……」

 

Aさんはもう隠しきれないと、ギャンブルを再開してやめられなくなっていることを白状。本人の意思だけではどうにもできないと思った妻は、病院へ連れていき、Aさんは「ギャンブル依存症の1歩手前」と診断されました。

 

今後の治療は専門医に委ねるにしても、崩壊してしまった家計はこれからどうすればいいのか……妻はAさんと、知り合いのCFPに家計改善と今後の資金繰りについて相談することにしました。

 

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次ページ日本における“ギャンブル依存”の実態

※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
<参考・出典>
※1、※2 消費者庁HP「ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ」「ギャンブル等依存症に関する相談窓口」
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_012/)

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