(※写真はイメージです/PIXTA)

核家族化と高齢化が加速する現代、高齢の単身世帯は増加の一途をたどっています。「タワマン孤独死」という言葉も取り沙汰されるなか、老後は誰とどこで生活するのがベストなのでしょうか。CFPでFP事務所MIRAI代表の山﨑 裕佳子氏が、事例をもとに検証します。

玄関ドアの先にあった「驚くべき光景」

訪問当日、エントランスに着いた娘がインターホンで呼び出すと、母は驚いた様子でこう言います。「あれ、今日はどうしたの?」

 

日程はあらかじめ伝えていたのですが、すっかり忘れているようです。娘は、祈るような気持ちで長いエレベーターを上がり、玄関ドアを開け、茫然としました。

 

元来、道子さんは自他共に認めるきれい好き。毎朝の掃除は日課で、いつも家の中は整理整頓されていました。

 

しかし、ドアの先に見えたのは、床に置かれた大量の買物袋と洗濯物の山でした。鼻をつく異臭もあり、出所はキッチンのようです。慌てて娘が片づけようとしますが、母は「大事なものだから触らないで!」と怒ってしまいます。

 

娘は覚悟を決めて、道子さんを病院へ連れていきました。そして検査の結果、道子さんは軽度の認知症であると診断されました。

夫と過ごしたタワマンは手放し、老人ホームに転居することに

ちょうど娘は仕事で要職に就き、やりがいを感じ始めていたころで、「母の介護を1人で担うのは厳しい」というのが本音でした。また、道子さんも娘に対し、事あるごとに「老後、あなたに世話をかけるなんてとんでもない」と冗談交じりに伝えていたそうです。

 

母の性格から考えて、娘に迷惑をかけるのは本意ではないだろうと考えた娘は、母を老人ホームに入れることにしました。道子さんはタワマンを終の棲家にするつもりでしたが、仕方がありません。

 

タワマン→老人ホーム転居にかかる「費用」は…

老人ホームに転居させるにあたって気になるのは、金銭面です。

 

道子さんの資産は、敏夫さんの遺産と居住中のマンションのみ。それに、敏夫さんの遺族厚生年金を合わせて月22万円の年金収入があります。趣味だった旅行と敏夫さんの入院中にかかった医療費、葬儀費用などで退職金を取り崩していたこともあり、預金残高は2,800万円になっていました。

 

娘は夫と相談した末、道子さんが住んでいるマンションは売却することに。不動産会社に問い合わせたところ、人気のエリアで需要が高いことから、手数料を除いても5,000万円ほどは手元に残りそうです。

 

その後、母とともに施設を探し、道子さんは湘南の海を望める介護付き有料老人ホームを選びました。その施設は、完全個室の1LDKでミニキッチン付き。大浴場やスポーツジム、ミニ図書館などを備えた、リゾートホテルのような老人ホームです。24時間体制で看護師や介護ヘルパーが常駐しているため、なにかあった時にも安心です。

 

介護付き有料老人ホームにかかる主な費用は、下記のとおりです。

 

【介護付き有料老人ホームにかかる費用】

入居一時金:2,500万円

月額料金(管理費・運営費):17万円(単身入居の場合)

食費実費(3食+おやつ):6万円/月 

 

入居一時金は預金から払い、月額料金は年金と預金を取り崩しながら支払う予定です。

 

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