愛するペットは、まさに家族の一員。しかし、年齢を重ねるにつれて「最後まで自分で世話ができるだろうか?」と心配になる方も多いのではないでしょうか。特にお金の問題で、信頼できる家族に任せたとしても、ペットによっては年間数十万円、老齢であればその他医療費などにより高額な準備金が必要となり、家族の状況によっては相続放棄されてしまう事態にもなりかねません。本記事では、ペットの未来を安心して任せられるように、今からできる具体的な対策について、外資系金融機関に12年勤務し、その在籍中に日本初のペットの看取りサービスを開発した藤野善孝氏が解説します。
遺言書でペットを引き渡すことは可能? 相続放棄された場合は
冒頭で説明した通り、犬や猫などのペットは「動産」という財産なので、遺言書を活用して、ペット達を引き渡すことは可能です。しかし、遺言書にペット達の引き渡し先を明記するだけで、本当に大丈夫なのでしょうか? そこには様々な落とし穴が潜んでいます。
遺言書は遺贈者(財産を与える人)からの一方的なメッセージですので、そのメッセージを受け取った方達は、有難く受け取ることもできますし、逆に放棄することもできます。
相続財産には「プラスの財産」と「マイナスの財産」があります。「プラスの財産」だけ貰えるならば、これほど有難いことはないのですが、もし「マイナスの財産」だけを遺されたら、受け取る側にしたら、正直、迷惑極まりない話ですよね。このことから、相続人や受遺者は財産を放棄することができるようになっています。
それでは、遺言書で「ペットの引き渡し先」を明記していたにも関わらず、その「ペットの引き渡し先」が放棄したら、行き場がなくなったペット達はどうなるのでしょうか? この場合、大半は保健所へ収容されることになります。その後、民間の動物愛護団体や里親ボランティアが譲渡先(里親)を探す協力をしてくれますが、譲渡先が見つからない場合は、保健所にて殺処分されてしまいます。
また、遺言書通りに「ペットの引き渡し先」がペット達を相続したとしても、そこにペット達に対する愛情が無ければ、そのペット達を保健所に持ち込んでしまうケースも少なくありません。
まさにこれが、遺言書の落とし穴です。それでは、このような最悪の事態を回避するには、どのようにしたら良いのでしょうか? それは、飼い主亡き後のペット達の面倒を看てくれる方を遺言書に明記し、さらに、その方と「死因贈与契約書」の締結をすることです。
この「死因贈与契約書」とは、飼主が亡くなったら、ペット達の面倒を看てくれる方にペット達を贈与するという契約です。贈与契約は遺言書と違い、双方同意の契約なので、放棄をすることはできません。また、遺言書内で、ペット達の飼育費も一緒に遺贈することを明記しておけば、ペット達の面倒を看てくれる方の負担が減り、より安心してペット達を託すことができるでしょう。
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認定NPO法人ピーサポネット
理事長
外資系金融機関在籍時に、相続対策や信託の可能性について研究。
その際に、犬猫の殺処分が社会問題になっている事を知り、日本初のペットの看取りサービス「ラブポチ信託R」を開発。
2019年8月から本格的に「ラブポチ信託R」の全国展開を始め、同時に「ラブポチ信託R」を唯一取り扱う事ができる「ペット相続士R」を全国に配置して、飼主が気軽に相談できる環境を提供している。
認定NPO法人ピーサポネットHP:https://www.p-sapo.jp/
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連載相続・終活の疑問を解決!円満相続にたどり着く方法を具体例とともに徹底解説
株式会社サステナブルスタイル
円満相続ラボは「全ての家庭に、相続の『かかりつけ医』を。」をコンセプトに、相続終活の情報発信を通じて、争う相続を減らし円満相続に貢献することを目的としている相続終活のWebメディア。まだまだ相続について詳しくない方が多い中で「円満相続ラボ」を通じて、相続の「こんなはずじゃなかった」を減らしていくために日々情報発信を行なっている。
相続終活に関する情報提供はもちろんのこと、コラムを読んでくださった方が抱えている課題に合った相続の専門家の派遣も行っている。
相続終活メディア「円満相続ラボ」
運営:株式会社サステナブルスタイル
協力:株式会社スタルジー
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