金融市場のコンセンサスは依然として「ソフト・ランディング」
金融市場のコンセンサスは依然として「ソフト・ランディング」でしょう。米ブルッキングス研究所の定義にしたがえば、ソフト・ランディングとは「景気後退を招かずに、インフレが収束する」というものです。
米国経済は現在でも潜在成長率(1.8%)を上回る、2.1%程度の速度で成長しています。
“景気後退時並みの利下げ織り込み”が意味するもの
筆者はコンセンサス(ソフト・ランディングの見方)から離れて、足元の幅広い資産市場の動きを確認したり、過去の動きとの比較を重ねたりしました。
しかし、(仮に「ソフト・ランディングの見方」を排除するとしても)現在の金融市場はせいぜい「景気拡大が続くか、景気後退に向かうかを見極めようとしている」という解釈に留まるように感じます。確認のためにいえば、金融市場が「景気後退を決め打ちしている」というのは難しいように思えます。
(たとえば、たしかに、2年~10年金利の「順イールド化」は懸念材料ですが、1998年のように景気後退が訪れなかったケースもありますし、世界金融危機以前は2005年12月末に最初の「順イールド」が生じ、景気後退の開始までに2年近くを要しています。その途上、ふたたび「逆イールド化」するなど、金融市場は「気迷い」を見せています。現在もそうなのかもしれません)。
こうしたなかでの、景気後退時並みの利下げの織り込みはいったいなにを意味しているのでしょうか。
その解釈として、たとえば
とできるかもしれません。こうなら「ソフト・ランディングの見方」と「景気後退時並みの利下げ織り込み」が両立するかもしれません。あるいは、
とできるかもしれません。同じ方向への取引・賭けが行き過ぎて極端に振れているということです。システム売買がトレンド追随であり、バリュエーションやレンジといった平均回帰を無視しがちなら、そうしたこともありえるかもしれません。
流動性について触れれば、FRBの利下げやドル安によって流動性が回復し、商品市況の上昇が投機を延命させるという見方もありますし、逆に、円高によって円キャリーというレバレッジが縮小する(→売りが売りを呼んで流動性が枯渇する)という見方もあります。
この先の展開がどうなるか、筆者にはまったくわかりません。過去10年でももっともわからないタイミングです。予断を持たず、状況を注視しています。
重見 吉徳
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