フィリピンへの「海外直接投資」、低金利を背景に増加…中央銀行の年度目標クリアに現実味

9月9日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピンへの「海外直接投資」、低金利を背景に増加…中央銀行の年度目標クリアに現実味
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今回は中央銀行の利下げに伴い、海外からフィリピンへの投資が増加している現状についてみていきます。

低金利がフィリピンへの投資を後押し

アナリストたちは、フィリピンへの外国直接投資(FDI)や外国ポートフォリオ投資(FPI:株式市場や債券市場への投資)の増加について、低金利がこれらの投資を促進すると予想しています。

 

2024年1月から5月までのFDI純流入は前年同期比で15.8%増加し、40億2400万ドルに達しました。また、短期的な外国投資は、1月から7月までの間に前年同期の1億5730万ドルから14億6000万ドルに急増しています。FDIは長期的な投資とされる一方、FPIはより流動的な投資です。

 

フィリピン中央銀行(BSP)は、2024年のFDI純流入を95億ドル、FPI純流入を31億ドルと予測。金利の引き下げが進むなかで、BSPの投資目標は現実的であると見られています。

 

BSPは8月の会合で、4年ぶりに金利を0.25%引き下げ、政策金利を6.25%に引き下げました。これは2020年11月以来の初の引き下げです。BSPの総裁であるエリ・M・レモロナ氏は、年末にさらに0.25%の利上げを行う可能性があるとも示唆しています。

 

また、米連邦準備制度(Fed)が金利の引き下げサイクルに入るといわれており、これがグローバルな投資や貿易の改善をもたらし、FDIやFPIの増加につながると見られています。

 

フィリピンの強固な経済指標も、海外からの投資を引き寄せる要因とされています。持続的な経済成長、政治的安定、規制環境の改善、インフラ開発、そしてBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や製造業の競争力がFDIやFPIの目標達成に寄与します。第2四半期のフィリピンの経済成長率は6.3%で、過去5四半期で最も高い成長率となりました。地政学的リスクを除けば、投資目標は達成可能と見られています。

 

また、フィリピンのクレジット・レーティングが国際投資家や債権者の信頼を高め、外国投資の成長を支援しそうです。日本格付研究所(R&I)は、フィリピンの格付けを投資適格格付けの「Aー」としています。政府はマルコス政権の終了までに「A」格付けの獲得を目指していますが、現在、フィリピンはムーディーズから「Baa2」、フィッチから「BBB」、S&Pから「BBB+」の格付けを受けています。全体として、フィリピンのFDIやFPIの見通しは前向きであり、低金利や強固な経済基盤が投資を引き寄せる要因として機能する一方で、地政学的リスクや国内政策の変更がこれらの予測に影響を与える可能性があるため、今後の動向には注視が必要です。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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