※画像はイメージです/PIXTA

相続税の脱税と指摘を受けるのにはどういったケースがあるのか。また、相続税の脱税はそもそもいかにしてバレるのか。さらに、相続税の脱税がバレたらどうなるのか。相続税の脱税についてしていきます。

4)タンスから1,000万円出てきたがバレないと思い申告しなかった

亡くなった被相続人の遺品を整理していたら、タンスから現金が1,000万円出てきた。こういった話はテレビドラマの話だけではなく、実は意外とあります。

 

こういった場合に、直近の預金通帳から引き出しもないし、生活身の回りを世話していた相続人でさえも知らなかったのだから、税務署にもわかりようはないだろうと考えがちです。そして、相続財産から除外して申告した結果、あとから税務調査で見つかってしまったといったことになると、相続税の脱税とみなされる確率が高くなります。

 

5)保険の契約者名義を変えれば申告しなくても良いと思っていた

父が保険料を一時金で支払って、被保険者が子どもというような保険契約を父の生前に、契約者名義を父から子どもに変更する。そうすると、いざ父が亡くなったときには、この保険契約は子ども名義の保険となっていますので、一見相続財産に見えず相続税申告をしなくても良い様に見えてしまうかもしれませんがそんなことはありません。

 

「子ども名義の預金口座を相続財産と認定された」で解説した、名義預金と同じ理屈でこの保険契約も名義は被相続人名義になっていなくとも相続財産として計上する必要があります。仮に、この名義は違うが実質的には被相続人の財産である保険契約を相続財産として申告しなければ相続税の脱税と見なされる可能性が高くなるでしょう。

 

【コラム…税務署は支払調書で相続財産を把握する】

各保険会社は、「支払調書」という保険契約に関わる情報を税務署に提出する義務があります。

 

税務署はこの「支払調書」によって、情報を収集し相続財産の計上漏れの把握を行います。たとえば、ある被相続人が死亡して相続人Aに保険金が1億円支払われましたというような場合には、保険会社は相続人Aに1億円を払いましたということを「支払調書」に記載して税務署に提出します。

 

このような状況ですから、相続人Aから相続税の申告書が提出されていなければ、税務署としてはすぐに申告漏れを把握できるわけです。また、平成30年1月1日以後に生命保険契約等について死亡による契約者変更が生じた場合、翌年の1月31日までに、当該保険会社等から税務署に「保険契約者等の異動に関する調書」を提出する義務が課されるようになりました。生命保険契約に基づく保険金を受け取った場合、保険会社から税務署に支払調書が提出されますが、これまでは保険契約について死亡による契約者の変更があった場合に調書が税務署に提出されていませんでした。

 

この改正により、税務署は提出された調書によって生命保険契約等の契約者の変更を把握することができるようになったため、より一層課税漏れを防止できるようになったわけです。

 

参考:保険契約者の異動調書の提出義務化で課税漏れ防止

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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