※画像はイメージです/PIXTA

相続税の脱税と指摘を受けるのにはどういったケースがあるのか。また、相続税の脱税はそもそもいかにしてバレるのか。さらに、相続税の脱税がバレたらどうなるのか。相続税の脱税についてしていきます。

相続税の脱税とみなされた身近な事例

相続税の脱税とみなされる場合には、どのようなケースがあるのでしょうか。ドラマの世界でよくあるような床下に現金を隠していたなど、明らかに意図的な財産隠しの場合は脱税となるのは当然ですが、ここでは意図せずに脱税と見なされてしまうおそれのあるケースを以下に5つご紹介します。

 

1)亡くなる直前に口座から引き出せば相続税がかからないと思っていた

相続税の申告は、亡くなった時点の被相続人の預金口座の残高で計算をするので、亡くなる直前に預金を多額に引き出しておけば相続税の節税になる。というような間違った認識を持たれている人がまれにいます。

 

亡くなる直前に預金を引き出し、その金額を相続財産から除外して申告を行う。この行為は残念ながら、「脱税」となります。引き出したお金を被相続人自身が使い、相続開始(亡くなった日)時点ですでになければ、それは相続財産ではないので申告する必要がありません。しかし、引き出したお金が現金として存在すればそれは間違いなく相続財産ですので、相続税の申告を行う必要があります。

 

バレるバレないの問題ではなく、申告を行い相続税を支払う必要があります。ただこの直前引き出しについては税務署も目を光らせていますので、金額の大小にもよりますがほぼ100%バレます。

 

直前引き出しをする行為自体は悪いことではありません。預金が凍結されて当面の生活費が引き出せなくなるので、直前に引き出しておくということは一般的によくあることです。直前引き出しを行っても、相続税申告を適切に行えば問題ありません。

 

2)土地の評価を間違って相続税額を過少に申告していた

土地の相続財産の相続税評価の計算を間違って相続税の申告を行ってしまったケースで、相続税の脱税と見なされるケースがあります。

 

たとえば、本来は5,000万円で評価すべきところ、4,500万円と評価して相続税の申告をしてしまった場合。仮に税率が20%としますと、(5,000万円-4,500万円)×20%=100万円の相続税を脱税していることになってしまいます。

 

相続税評価の中でも特に土地の評価については難易度が高く、専門家である税理士でさえ10人が評価を行えば10通りの評価額が算出されるといわれるほどです。

 

ここで、本来5,000万円の土地を6,000万円で評価して申告をしてしまっている場合には、過大に相続税を納めていることになり税務署としては特に問題としません。ただ、財産を過少に評価して申告をすると税務署としてはその分の税金を取り損ねてしまうので、躍起になって追及をしてきます。

 

3)子ども名義の預金口座が相続財産と認定された

いわゆる、「名義預金」の相続財産計上漏れが相続税の脱税と見なされるというお話しです。相続税の税務調査で指摘事項が一番多いのがこちらのケースになります。

 

「名義預金」とは、被相続人(亡くなった人)がその原資を支出しているが、その預金口座の名義は子どもや配偶者となっているような預金です。

 

この「名義預金」は、名義は被相続人以外になっていたとしても、原則、被相続人の相続財産として相続税の計算に加味する必要があるケースがほとんどです。「名義預金」を申告しなければ、その分、相続税を脱税したとみなされてしまう可能性は非常に高くなります。「名義預金を相続財産として計上すべきということを知らなかった」といって済まされる話ではなく、場合によっては重いペナルティが課せられてしまいますので注意が必要です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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