米ドル円相場で「急激な米ドル安・円高」が起きる可能性…米国が恐れる〈最悪のシナリオ〉とは【マクロストラテジストの見解】

米ドル円相場で「急激な米ドル安・円高」が起きる可能性…米国が恐れる〈最悪のシナリオ〉とは【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

現在の米国では、景気後退への懸念を背景に、マーケットで「利下げ」の織り込みが進んでいます。そのようななか、今後の米国株やドル円相場はどのようなシナリオが想定されるのでしょうか。フィデリティ・インスティテュートの首席研究員である重見吉徳マクロストラテジストが詳しく解説します。

ドル円相場の今後の展開

同様に、今後のシナリオを考えると、

 

1.ソフト・ランディング

米国が現在の市場予想どおりに利下げをして、たとえば「3%」で打ち止めとする場合、それは「米国経済や世界経済における、そこそこのインフレ鈍化」を示唆しますから、日本は大幅な利上げを避けられ、たとえば1%程度までの利上げイメージを想定できるでしょう。

 

2.ノー・ランディング

米国景気が強く、インフレ圧力が残って、米国の利下げが限定的になる場合(たとえば4%程度での打ち止めとなり、場合によっては、再利上げが求められる場合)には、米金利は高止まりし、日本では円安も含めて輸入インフレの圧力が残る可能性があります。

 

この場合には、日本は「大幅な利上げ」あるいは、少なくともそうした姿勢を迫られるでしょう。

 

3.ハード・ランディング

米国が景気後退に陥る場合には、たとえば「ゼロ金利政策への復帰」を含む、大幅な利下げが生じる可能性があります。

 

他方で、そうした場合には、世界経済にディスインフレ圧力(=低インフレの圧力)が生じており、比較的大幅なドル安・円高でもあるでしょうから、日本は利上げをせずとも、インフレ圧力は収まるでしょう。

 

いずれの場合にも日米金利差は縮小して、ドル円相場は、ドル安・円高方向に向かう可能性があります。

 

他方で、日本の実需は「ドル買い・円売り」とみられ、以前ほどの大幅なドル高・円安は避けられる可能性も考えられます。

 

ただ少なくとも、現状よりもドル安・円高の水準が生じる可能性も(とくに短期的な投資に関しては)考慮しておきたいところです。
 

 

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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