J.D. パワー 2024年クレジットカード顧客満足度調査℠
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年クレジットカード顧客満足度調査℠の結果を発表した。
プレミアム部門での満足度向上が顕著
本調査では、クレジットカード会社が発行するプロパーカードの提供しているサービスや年会費により、4部門に分けて総合満足度を発表している。
部門別に総合満足度を前年調査(2023年8月発表)と比較すると、プレミアム部門で+15ポイントと向上幅が最も大きく、次にスタンダード部門で+5ポイントとなった。一方、年会費無料部門では-2ポイントとほぼ横ばい、ハイステータス部門では-6ポイントとなった。
満足度が最も向上したプレミアム部門では、「クレジット機能」、「ポイントプログラム」、「会員向けサービス/特典」、「年会費」のファクターでいずれも10ポイント以上の向上が見られ、「ポイントの貯まりやすさ」や「キャンペーンの充実度」といった評価項目が満足度の向上に寄与していることが確認された。
一方、満足度が最も低下したハイステータス部門では、「ポイントプログラム」と「会員向けサービス/特典」のファクターで10ポイント程度の低下が見られ、「交換できる商品・サービス」、「キャンペーンの充実度」、「付帯サービスの充実度」といった評価項目で低下が確認された。
これらのプレミアム部門とハイステータス部門はともに年会費1万円以上という比較的高額な年会費を要する部門として、主に高いレベルのサービスを提供するカードブランドを対象としている。支払う年会費とカード会社から提供されるサービスレベルが、高度なバランスを求められる両部門において総合満足度では明暗を分ける結果となった。
タッチ決済は満足度やロイヤルティ向上に寄与
タッチ決済が利用できるクレジットカードと店舗が拡大している。スピーディーな決済ができることに加え、セキュリティ面や衛生面といった安全性、ウェアラブル端末等で利用ができる利便性の観点からも、日本のみならずグローバルに利用が拡大している決済方法である。
本年調査においても直近1年以内のタッチ決済利用経験の有無別に満足度を見ると、タッチ決済を利用した顧客は利用しなかった顧客に比べ、満足度が高いことが確認された。
満足度の違いをファクター別に見ると、「ポイントプログラム」と「会員向けサービス/特典」での差が最も大きく、カード会社によってはタッチ決済の利用によってポイント還元率を増やしているほか、タッチ決済のみを対象としたキャンペーンを実施している会社もあることなどが背景にあると推察される。
タッチ決済の利用有無における満足度の差は若年層ほど大きく、加えてクレジットカードを高頻度で利用する顧客ほど満足度が高い。
またタッチ決済を利用した顧客は、利用していない顧客に比べ、主利用カードの継続意向、増額意向、推奨意向(「そう思う」、「まあそう思う」の合計)といったロイヤルティがいずれも高いことも確認された。
クレジットカードの券面によっては未だタッチ決済が非対応であるほか、決済時に利用できない店舗・端末も多く、普及は道半ばである。しかし、若年層や高頻度利用層の満足度向上に寄与するという点では、顧客のライフタイムバリューを重視する戦略における重要度が高いポイントと言える。
今後のタッチ決済の急速な普及や利便性の向上は、クレジットカード業界に期待される重要な課題と考えられる。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門
常務執行役員 梅澤希一のコメント
「本年調査で総合満足度を見ると全体では部門によりまちまちとなったほか、支払い月額についても明確な伸びは確認できなかった。具体的には、支払い月額は前年に比べて+9%の6,300円の増加にとどまった。
こうした背景には、脱コロナで旅行需要の回復などは見られるものの、物価上昇により実質賃金がマイナス圏で推移してきた中で、クレジットカード利用者の支出抑制の意識が引き続き強いことがあると考えられる。
先行きでは実質賃金がプラス基調となることが一部では予想されるものの、支払い額の上昇につなげるためには会員向けサービスや特典・ポイントプログラムの拡充などのインセンティブの強化も一案であると考えられる。」