“上級国民”の財務官僚、公文書改ざんも〈無罪放免〉の違和感…森永卓郎が「まったく理解できない」と語る〈森友学園問題〉の結末

“上級国民”の財務官僚、公文書改ざんも〈無罪放免〉の違和感…森永卓郎が「まったく理解できない」と語る〈森友学園問題〉の結末
(※写真はイメージです/PIXTA)

2016年に起きた森友学園問題。財務省による決裁文書書き換えが明らかになったものの、この件について刑事責任は問われませんでした。経済ジャーナリストの森永卓郎氏は、この検察の判断を「一般常識では考えられない」といいます。著書『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売)より、同氏の見解をみていきましょう。

財務省が用意していた「まさかのスクープ」

ただ、財務省は二の矢を用意していた。2018年3月2日、朝日新聞がスクープを発信した。財務省が森友学園への国有地払い下げ契約に関する決裁文書を書き換えた疑いがあるというのだ。

 

3月12日に財務省はこの報道が事実であることを認め、当初の決裁文書から削除された内容は「本件の特殊性」といった文言や、昭恵夫人および政治家らについての記載だったとした。書き換えは2017年2月下旬から4月にかけて行なわれており、財務省は1年間もウソの決裁文書を示すことで国会と国民を欺いていたことになる。

 

しかも、財務省は、改ざんは本省(佐川宣寿理財局長)からの指示で近畿財務局が行なったことも認めた。

 

虚偽公文書作成は、懲役1年以上10年以下の重大犯罪だ。ところが、大阪地検特捜部はこの事件を不起訴としたのだ。同時に、国有地を格安で払い下げたことによる背任容疑に関しても、違法性があったとはいえないとした。

 

一般常識で考えられない検察の判断で、公文書改ざんの刑事責任は問われないことになった。

 

検察官も行政機構の一部だ。彼らの予算は、財務省が握っている。また捜査に必要な銀行取引や税務関連のデータも財務省の協力なしには得られない。明確な証拠があるわけではないが、検察が財務省への忖度をした可能性は否定できないだろう。

 

ただ、仮に財務官僚への刑事責任追及ができなかったとしても、行政処分は可能だ。

 

ところが、2018年6月4日に公表された懲戒処分は、すでに辞職していた佐川宣寿前国税庁長官(改ざん時は理財局長)を停職3カ月相当にするなど、20人を懲戒や厳重注意などの軽い処分で済ませ、麻生太郎財務大臣自身は、閣僚給与1年分を自主返納するだけに終わった。

 

佐川元理財局長は懲戒免職にすべきだったと私は思う。私だけでなく、ほとんどの国民はそう思うだろう。しかし、現実にはこれだけひどい犯罪をしても“上級国民”の財務官僚は無罪放免になってしまうのだ。

 

しかし、事件はこれで終わらなかった。

 

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※本連載は、森永卓郎氏の著書『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(フォレスト出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

書いてはいけない 日本経済墜落の真相

書いてはいけない 日本経済墜落の真相

森永 卓郎

フォレスト出版

筆者がテレビやラジオなど、メディアの仕事をするようになって四半世紀以上が経過した。その経験のなかで、メディアでは、けっして触れてはいけない「タブー」が3つ存在した。 (1)ジャニーズの性加害 (2)財務省のカル…

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