財務省が用意していた「まさかのスクープ」
ただ、財務省は二の矢を用意していた。2018年3月2日、朝日新聞がスクープを発信した。財務省が森友学園への国有地払い下げ契約に関する決裁文書を書き換えた疑いがあるというのだ。
3月12日に財務省はこの報道が事実であることを認め、当初の決裁文書から削除された内容は「本件の特殊性」といった文言や、昭恵夫人および政治家らについての記載だったとした。書き換えは2017年2月下旬から4月にかけて行なわれており、財務省は1年間もウソの決裁文書を示すことで国会と国民を欺いていたことになる。
しかも、財務省は、改ざんは本省(佐川宣寿理財局長)からの指示で近畿財務局が行なったことも認めた。
虚偽公文書作成は、懲役1年以上10年以下の重大犯罪だ。ところが、大阪地検特捜部はこの事件を不起訴としたのだ。同時に、国有地を格安で払い下げたことによる背任容疑に関しても、違法性があったとはいえないとした。
一般常識で考えられない検察の判断で、公文書改ざんの刑事責任は問われないことになった。
検察官も行政機構の一部だ。彼らの予算は、財務省が握っている。また捜査に必要な銀行取引や税務関連のデータも財務省の協力なしには得られない。明確な証拠があるわけではないが、検察が財務省への忖度をした可能性は否定できないだろう。
ただ、仮に財務官僚への刑事責任追及ができなかったとしても、行政処分は可能だ。
ところが、2018年6月4日に公表された懲戒処分は、すでに辞職していた佐川宣寿前国税庁長官(改ざん時は理財局長)を停職3カ月相当にするなど、20人を懲戒や厳重注意などの軽い処分で済ませ、麻生太郎財務大臣自身は、閣僚給与1年分を自主返納するだけに終わった。
佐川元理財局長は懲戒免職にすべきだったと私は思う。私だけでなく、ほとんどの国民はそう思うだろう。しかし、現実にはこれだけひどい犯罪をしても“上級国民”の財務官僚は無罪放免になってしまうのだ。
しかし、事件はこれで終わらなかった。
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