兄弟姉妹間での遺産分割で揉めないポイント
兄弟姉妹間での遺産分割で揉めないためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか? ここでは、兄弟姉妹間での遺産分割を争いに発展させないための主なポイントを5つ紹介します。
法定相続分が基本となることを知っておく
1つ目は、法律上、遺産分割は法定相続分が基本となると知っておくことです。先ほど解説したように、被相続人と同居していた長男が初めから「自分がすべて相続して当然だ」といった態度で協議に臨むと、二男が気分を害し争いに発展してしまいかねません。
また、遺産分割協議がまとまらず、後ほど解説する調停や審判へと移行すれば、長年同居し無償で介護をしたなどの事情が多少考慮されることはあるとはいえ、原則として法定相続分で遺産をわけることとなります。そのため、本来は兄弟姉妹間の取り分は平等であることを知ったうえで、話し合いに臨むとよいでしょう。
財産を隠さない
2つ目は、遺産を隠さないことです。なかには、被相続人と同居していた相続人などが、少しでも遺産の取り分を増やそうと遺産を隠すことがあります。しかし、財産隠しが発覚することが少なくありません。相続人は、被相続人の預金口座など財産を調査できるためです。
財産隠しが1つ発覚すると、ほかにも隠している事項があるのではないかと疑心暗鬼となり、相続トラブルに発展しやすくなります。
無断で預金を引き出さない
3つ目は、被相続人の預金を無断で引き出さないことです。相続が起きても、金融機関が死亡を知らないうちは口座が動いています。そのため、キャッシュカードを持っており暗証番号を知っていれば、事実上引き出しはできてしまうかもしれません。
しかし、事実上「できてしまう」からといって、被相続人の口座から無断で預金を引き出すと、ほかの相続人から財産隠しを疑われトラブルに発展するおそれがあります。
そもそも、金融機関との約款により、本人以外によるキャッシュカードの利用は禁じられていることが一般的です。そのため、被相続人のキャッシュカードを使って口座から無断で預金を引き出すことは、避けるべきでしょう。
なお、当面の生活費や葬儀費用の支払いなどに苦慮している場合は、預金の仮払い制度を使うことで、被相続人の預金の一部の仮払いを受けることが可能です。制度の活用には注意点が少なくないため、利用をご検討の際はあらかじめ弁護士にご相談ください。
相手の心情に配慮する
4つ目は、相手の心情や状況に配慮することです。兄弟姉妹間での相続争いは、相手の心情や状況に配慮せず自身の要求をぶつけることから起きるケースが少なくありません。たとえ法律的に正しい主張であったとしても、伝え方を誤ると関係に亀裂が入る原因となるおそれがあります。
そのため、遺産分割において自身の希望を伝える際は、相手の心情や状況に配慮した表現をすることをおすすめします。
生前に遺言書を作成しておいてもらう
5つ目は、可能であれば、生前に遺言書を作成しておいてもらうことです。すべての遺産について承継者が定められた有効な遺言書があれば、相続発生後に兄弟姉妹間で遺産分割協議をする必要はありません。そのため、有効な遺言書があれば、兄弟姉妹間での相続争いを回避しやすくなります。
しかし、トラブルを回避できる有効な遺言書を自分で作成することは、容易ではありません。そのため、遺言書の作成は、弁護士などの専門家のサポートを受けて行うことをおすすめします。
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