「コミュニティ」を通してオンラインとオフラインを融合…ホームセンター〈カインズ〉が目指す「DIY」の未来のカタチ【対談】

「コミュニティ」を通してオンラインとオフラインを融合…ホームセンター〈カインズ〉が目指す「DIY」の未来のカタチ【対談】
(※写真はイメージです/PIXTA)

29都道府県下に239店舗のホームセンターを展開する「カインズ」。DIYを「文化」にすることを目標に掲げ、DIY専門のオンラインコミュニティ「CAINZ DIY Square」を運営しています。本記事では『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流/著者:小父内信也氏』(幻冬舎)より一部抜粋し、DIYの普及に精力的に取り組んでいるカインズがどのようにコミュニティを活用しているのか、対談形式でご紹介していきます。

ポイントは、小さい火を徐々に広げていくこと

小父内 ファンコミュニティ立ち上げのポイントを教えてください。

 

澁谷 コミュニティ立ち上げ当初に小父内さんに教えていただいたなかで印象的だったのが、「コミュニティでは小さい火を徐々に広げていくことが重要だ」という言葉です。教えていただいた通りに最初は10名のコアメンバーから始めたのですが、正直にお話しすると、もっと勢いよく大きく始めたほうが良いのではないかという声も社内で上がっていました。ですが、少人数のコアメンバーから始めたおかげで、運営の土台を築くことができ、コミュニティの活性化に大きくつながりました。小さい火を徐々に広げていくことは非常に重要なポイントだと思います。

 

小父内 まずは小さいことからコツコツ積み上げていくことが本当に重要です。「CAINZ DIY Square」は、今では年間15万アクションがある熱狂的なコミュニティとなっています。これまでコミュニティを見てきたなかで、印象的なユーザーのことやエピソードなどがあれば教えてください。

 

澁谷 先ほどお話ししたコアメンバーのうちの一人は、カインズのことが好きになりすぎて、今ではカインズでアルバイトメンバーとして働いています。その方の自宅をコミュニティの取材で訪ねたことがあるのですが、DIYで作った作品で溢れていましたね。

 

小父内 一緒に働く仲間になってくれるというのは、コミュニティの究極の姿ですね! 他に印象的なエピソードはありますか?

 

澁谷 今までワークショップに一度も参加したことがなかったお客様なのですが、コミュニティの投稿を見たことがきっかけで、年間100回以上もワークショップに参加してくださるようになった方もいらっしゃいました。また最近では、お客様同士、オンラインでつながったことをきっかけに、リアルでもつながっている方々もいらっしゃいます。中にはご自宅でワークショップを開催して、そこに他のコミュニティメンバーを招待している方もいらっしゃいますね。

 

小父内 自宅でワークショップを開催するのはすごいですね。どんどん広げてくれるアンバサダーのような存在になっているのですね。ちなみにコミュニティを始めるにあたって、大変だったことはありましたか?


澁谷 コミュニティを盛り上げるという意味でも、立ち上げた当初は誰も反応しない状態をつくらないようにスピーディなコミュニケーションを心がけていたので、少し大変な部分がありました。投稿があったらすぐ運営からコメントを返したり、〝いいね〟を付けたりして、コミュニティに投稿することへの心理的なハードルを下げる努力をしました。今考えると、必要なプロセスでしたね。

 

小父内 たしかに、当時の澁谷さんは、コミュニティ活性化のために、運営サイドとしてできる限りのことをされていましたし、非常に努力されていましたよね。現在、コミュニティに所属しているメンバーの属性はどのようなものでしょうか?

 

澁谷 当初は女性の割合が多くなると想定していたのですが、男女比はおよそ1:1です。投稿が多いのはどのような属性の方なのかという分析はこれから進めていきたいと思っています。

 

小父内 ちなみに、コミュニティでの投稿を見て、商品の購入につながるケースはありますか?

 

澁谷 そのようなこともあります。積極的に投稿してくださるお客様がいるのですが、そのお客様が使っていたカインズのオリジナル商品のドライバーを、投稿を見て購入したという方がいらっしゃいましたね。

 

小父内 それは良い流れですね。さらにコミュニティ内で商品を購入できたらいいですよね。

 

澁谷 それはとてもやりたいと思っていることのひとつです。さらに、DIYを極めているコミュニティメンバーの中には、自分の作品を販売したいと思っているような方もいらっしゃいます。そのようなマッチングなどもできたら面白いと考えています。

次ページ コミュニティメンバーの年間購入額は、会員平均の1.8倍

※本記事は『コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流』(幻冬舎)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

コミュニティドリブン経営 ファン起点で広げるビジネスの新潮流

小父内 信也

幻冬舎

「コミュニティを制すものはビジネスを制す。」 顧客と企業をつなぐ「コミュニティ」形成の有効性・活用法を、大手企業を中心に200社以上へのコミュニティ導入実績を持つ筆者がノウハウとともに解説。 ★コミュニティ…

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