前週の米ドル/円の振り返り
為替市場では、7月の米雇用統計の結果などを受け、米景気後退への懸念から米金利が急低下し、5日には一時1米ドル=141円台まで円高米ドル安が進行しました。その後は、7月のISM非製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、内田日銀副総裁が追加利上げに慎重な姿勢を見せたことなどから、円安米ドル高に転じたものの、9日には1米ドル=147.66円と、2日(149.52円)に比べ円高米ドル安となりました(図表1)。
もっとも、特別に支払われた給与は、振れやすい特徴があります。夏のボーナスは、6、7月に支給されることがほとんどであるものの、前年との支給時期のズレにより、6、7月の結果は、大きく振れることがあります。6月にボーナスを支給した事業所が、昨年に比べ多く、特別に支払われた給与は上振れた可能性があるため、6、7月の結果を均してみる必要があります。
7月も、実質賃金がプラスとなるかは、特別に支払われた給与の結果次第であるものの、8月以降は、春闘賃上げを映じて所定内給与の伸びが高まることが見込まれることから、実質賃金は、緩やかながらもプラスに転じることが予想されます。
6月の実質賃金は27ヵ月ぶりにプラス転換
厚生労働省が公表した2024年6月の毎月勤労統計によると、現金給与総額(以下、名目賃金)は前年比+4.5%と、5月(同+2.0%)から大きく伸びが拡大しました(図表2)。
6月の賃金の大幅な上振れの主因は、ボーナスの増加であり、名目賃金のうち、特別に支払われた給与は、前年比+7.6%(5月︓同+0.1%)となりました。名目賃金の急増により、実質賃金は前年比+1.1%(5月︓同▲1.3%)と、2022年3月以来、27ヵ月ぶりにプラスに転換しました。
もっとも、特別に支払われた給与は振れやすい特徴があります。夏のボーナスは、6、7月に支給されることが殆どであるものの、前年との支給時期のズレにより6、7月の結果は大きく振れることがあります。