(※写真はイメージです/PIXTA)

年金制度に不安を感じ、現役時代に蓄えを少しでも多く増やさなければ……そんな意識が強い人も多いでしょう。しかし、せっかく貯めた老後資金も、使い方を誤ればあっという間に消え失せてしまいます。本記事では、新田さん(仮名)の事例とともに、老後資金における年金の立ち位置についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

めでたく年の差婚、62歳で1児の父に

新田さんが退職するタイミングで28歳の年の差婚をすることになり、結婚生活はスタート。

 

絵里さんには離婚歴があり、結婚のときには8歳になる男の子がいました。ずっと独身だった新田さんでしたが、夫になるだけでなく、62歳にして8歳の男の子の父親にもなることに。

 

1億円以上もの金融資産を持つ新田さんは、28歳も年下の妻との再婚で舞い上がりました。3,000万円で中古のマンションを購入し、3人の新居を確保。年下妻のため、都内の高級レストランで食事をしたり、服を買ってあげたり、とこれまでの新田さんからは想像もつかないようなお金の使い方をします。妻が欲しがるハイブランドのカバンを初めてプレゼントしたときには、想像を超える金額に会計時に手汗が止まらなかったそうです。

 

さらに、妻の絵里さんは息子の教育に熱心で、学習塾だけでなく英語塾にも通わせ、学校も「勉強しないレベルの低い子がいる環境では足を引っ張られてしまう」と、私立の小学校に通わせていました。月にかかる教育費は約15万円。元夫からの養育費の支払いはなくなっていました。そのため、必然的に教育費は新田さんが支払うことになります。

 

これまで自分のためだけにお金を貯めてきた新田さんでしたが、愛する家族のためにお金を使う喜びを覚え、幸せな毎日が続きました。

 

そして月日は経過し、息子が大学進学を考える高校生になると、さらに教育費が掛かるように。しかし、このときすでに新田さんの金融資産は、ほとんど枯渇してしまっていました。

 

さすがに強気にお金を使えなくなっていた新田さんは、長年の経験を活かし個別指導や家庭教師で少しずつ収入を得るようになってきましたが、勤務は夕方から夜に掛けての時間。不定期の仕事であるため、月に15万円程度の収入が限度です。

 

そして、現役時代に公的年金の保険料を払ってこなかったために公的年金も受け取ることができず、収入は業務委託の家庭教師等のみです。

 

新田さんは「すまないが、これ以上教育費にお金はかけられない……」と絵里さんに伝えます。絵里さんはその言葉に理解を示した様子でしたが、そのころをきっかけに度々お金のことで衝突することになり、離婚することになってしまったのでした。

 

離婚をきっかけに売却したマンションは、幸いほとんど購入価格と同額の3,000万円で売却することができ、生活資金を確保することはできました。しかし、業務委託はいつまで続けられるかわかりません。働けなくなったら、貯金を取り崩すだけの老後となります。一人不安な老後を送ることになってしまったのでした。

 

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