(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年前半の米国株は大手ハイテク株主導の株高が進行しました。年後半の米国株の方向性を左右する「FRBによる利下げ転換」、「米国企業の業績見通し」、「AIブーム」の行方について解説します。

※本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が2024年7月12日に配信したレポートを転載したものです。

データセンターのバリューチェーンに着目すると

近年はAIの普及に伴う情報処理需要の高まりから、世界的にデータセンターの開発が活発となっています。

 

図8で示されるデータセンターのバリューチェーン(セクター間での付加価値の連鎖)に着目してみると、データセンター需要の直接的な恩恵を受けるセクターとして足元の市場では半導体や関連するハイテク・セクターへの注目度が高いものの、これらに留まらず、データセンターの周辺産業ではオペレーター(REIT)や電力会社、エネルギー企業まで広範なセクターにも恩恵が及ぶことが期待されます。

 

 

データセンターの電力需要の恩恵受ける公益株

今後、データセンターからの恩恵が期待される代表事例として、AIブームによる電力需要の拡大が挙げられます。

 

米国でのデータセンターの電力消費量は、2010年代に入り頭打ちの傾向が続いてきましたが、近年はAIブームを追い風に拡大トレンドに転じています。米国電力研究所によれば、データセンターの電力消費量は今後一段の増加が予想されており、2030年の米国の全電力消費量に占めるデータセンターの消費量の比率は成長シナリオに応じて4.6~9.1%に上昇する見込みです(図5)。

 

一方、今後の電力需要の高まりが期待される中でも、2024年6月末時点の米国の公益事業セクターの株価のバリュエーションは16.7倍と依然として割安な評価がなされています(図6)。こうした公益株の事例は、AIブームをめぐってハイテク・セクターに偏重した市場の注目が他のセクターにも広がる可能性を示唆していると考えられます。

 

 

 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

 

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