写真提供:えぬぷらす一級建築士事務所

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「建築基準法改正」。2025年4月から施行される法改正により、耐震補強や断熱・気密リノベーションを行うことが難しくなりそうだといいます。リノベーションを考えている人には心穏やかな話ではない事の真相を解説していきます。

消費者はどうしたらいいのか?

では、耐震リノベや断熱・気密リノベを考えている消費者はどうしたらいいのでしょうか?

 

来年4月以降の状況がまったくわからないため、現時点でとれる対策は、3月中に着工するという選択肢しかありません。フルリノベーションの設計や見積り期間を考えると、そろそろ、そのためのタイムリミットが迫りつつあります。新築住宅価格が高騰する中で、貴重な高性能住宅に住むための選択肢が大幅に狭められる事態に陥りそうなのですから、フルリノベを検討中の方は、とにかく急ぐことをお勧めします。

工務店の生き残り戦略を奪う法改正

最近、住宅着工戸数が減少しており、特に注文住宅の着工戸数の減少が深刻になっています。多くの工務店は、生き残りをかけて、新築からリノベーションにシフトを進めています。工務店にとっては、新築とは異なるノウハウが必要になるため、必死で勉強しているところです。また、国や自治体は、近年、新築よりも既存住宅の省エネ化に力を入れており、かなり手厚い補助制度が用意されています。つまり、国や自治体も既存住宅の性能向上に力を入れており、巨額の予算措置を行っています。

 

今回の法改正は、その大きな流れとまったく整合が取れていません。そして、フルリノベの受注をストップせざるを得ない状況になれば、新築注文住宅の激減で苦しむ中小工務店や建材メーカー等の倒産が一気に増加する可能性があります。

高度な政治判断が大至急必要では?

住宅業界は、国土交通省に対して、今回の法改正の問題点を再三指摘してきているようです。ところがこのままでは、準備が整わないままに来年4月に施行されてしまう可能性が高そうな模様です。政治家の方々は、このように、消費者の貴重な選択肢が奪われ、さらに官製不況が起ころうとしている状況をどれくらい認識しているのでしょうか?

 

物価高に賃金が追いつかず、実質所得のマイナス傾向が続き、個人消費も低迷している中で、状況をさらに悪化させる可能性が高いこの法改正について、政治家の方々がどれくらい認識しているのか、ぜひ聞いてみたいものです。

 

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