米大統領選前の株安、トランプ候補は望むところ!?…“もしトラ相場”を乗り切るための「投資行動」とは【マクロストラテジストの見解】

米大統領選前の株安、トランプ候補は望むところ!?…“もしトラ相場”を乗り切るための「投資行動」とは【マクロストラテジストの見解】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米大統領選を前にささやかれるトランプ政権の復活。世界経済への影響を考慮すると、ボラティリティの高まりは想像に難くありません。では、こうした不確実性の高まる“選挙相場”において大切な資産を守るためには、どのような行動が求められるのでしょうか。前回のトランプ政権時の経済政策を振り返りつつ、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏が考察します。

7/15週を“もしトラ相場”の典型と仮定するとみえてくること

7/15週の動きを総合すると、そしてその動きを“もしトラ”の典型と仮定するなら、

 

1.米連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力もあって景気後退はなさそうだが

2.規制強化(半導体? 他には?)や米国内への生産回帰、関税引き上げを含む保護主義の圧力などによって、インフレ・リスクや対中関係での瀬戸際外交が生じて、変動性が高止まりしそうであり

3.規制緩和(原油や自動車?)や戦争の終了など影響を受けるセクターがめまぐるしく変わる可能性もあり、セクター・ローテーションも必要になりそうだ

 

ということかもしれません。

予想どおりの変動性、予想より早く来た“ほぼトラ”

そもそもトランプ氏が大統領になれば、先週のような変動性は想定できたと思われます。

 

前回のトランプ政権時の政策を想像すればおわかりのとおり、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉やパリ協定からの離脱、太陽光パネル・鉄鋼・アルミなどへの関税、対中関税、北米貿易協定(NAFTA)の改定、メキシコとの国境壁建設、日本との物品貿易協定の交渉開始、米連邦準備制度理事会(FRB)への利下げ圧力など、トランプ政権になれば、企業優遇の姿勢や関連政策は企業利益を押し上げる好材料です。

 

しかし、アメリカ第一主義であるため、貿易面では保護主義で変動性は大きくなること(→中国製品への関税引き上げ、日本への円安是正要求)、国防・軍事面ではNATOや日本に対してもずっとそうであったように、台湾に対しても、防衛の自己負担を増やしていくように求めることも想像に難くなかったと思います。

 

まったくのうがった見方・邪推をすれば、トランプ氏はパウエルFRB議長に対して「バイデン氏を利する可能性のある利下げはすべきではない(→利下げは自分が大統領に返り咲いてからにしてくれ?)」と主張しているように、「バイデン政権のうちに株価が調整する分は、バイデン政権のせい。自分の政権時の発射台は低いほうがいい」と思っているのかもしれません。

 

もしそうであれば、いまのうちはハードラインで、まだまだ変動性は高くなるかもしれません。というよりも、選挙ですから支持を得るために、ハードラインで行く必要があります。この点、2019年当時も「ギリギリまで中国へのハードラインで株価を調整させ、選挙イヤーの直前で急転直下合意に達して株価を戻すつもりではないか」と言われていました。

 

まとめると、7/15週の動きは想定どおりであり、想定できなかったのは“ほぼトラ”が早く来たことだと思われます。今後とも変動性の高さに備えるほうがよいでしょう。

 

ただ、まだ「確トラ」ではない

ただし、まだ「次の米国の大統領は、トランプ氏で決まり」ではありません。多くは言えませんが、「だってそうでしょう!?」ということですし、ほかのことが起きる可能性も考えられます。

 

また、トランプ政権になるとしても、台湾の防衛を含め、実際の政策はわかりません。

 

対策は分散投資しかないでしょう。

 

幅広い分散投資はワークする可能性が高いと見られますから、引き続き分散をされてください。トランプ政権では変動性は大きくなりますから、分散の意義はさらに高まるということに尽きると思います。

 

<<レポート全文はコチラ>>

 

 

重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

注目のセミナー情報

【医院開業】9月26日(木)開催
【医師限定】人生設計から考える!
医療業界に精通したFPが語る〈医院開業資金〉のリスクと備え

 

【国内不動産】9月28日(土)開催
日本製鉄独自技術「NSスーパーフレーム工法」で実現する
長期的に資産価値が落ちない新発想の〈高気密〉〈高断熱〉賃貸マンション経営

 

【海外不動産】9月28日(土)開催
海外不動産の投資手法をアップデート!
日本国内の銀行融資を活用した「最新・ベトナム不動産投資戦略」

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

【ご注意】
※本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧