米半導体株や大型テクノロジー株式の調整はまだまだ続く?
[図表3]は、年初来から先週末までのリスク資産市場の動きを2つに分けたものです。
これも参考に最近、聞かれる市況の解説は……
「米国の半導体株式や大型テクノロジー株式は年初からの上昇幅が大きく【青色の左】、バリュエーション面から高値警戒感があったために、このところは(“ほぼトラ”も後押しとなって)調整売りが出ていて【オレンジの左】、代わりに小型株式など他のセクターへのローテーションが起きている【オレンジの右】」
……というものだと思います。筆者もまだこの線での解説でよいと考えています。
他方で、“ほぼトラ”を含めて「米半導体株や大型テクノロジー株式の調整がつづく」可能性を指摘する向きもありますが、「米半導体株や大型テクノロジー株式の調整はまだ先」のように感じています。もちろん、筆者が間違っているかもしれません。
“利下げ織り込み”が「4月下落時」との違い
①下落幅の相対的な小ささと、②株価が上昇したセクターも存在している「7/15週」と「4/15週」の大きな違いのひとつは「米国の利下げが織り込まれているかどうか」です。
4月当時、米国の10年金利は5週連続して+0.47ポイント上昇しました(4.20%→4.67%)。
他方、先週の米国10年金利はほぼ横ばいで(4.18%→4.20%)、引け値は4月当時の金利上昇前と同じ4.20%であり、金利は低水準です。
「先週」を「“ほぼトラ”週」と考えると、トランプ氏の経済政策には米国や世界経済にインフレをもたらすものもあることから、先週のマーケットも「4/15週」同様、インフレ懸念と利下げ後ずれ懸念を織り込みにいっても不思議ではなかったように思えます。
しかし、そうはなりませんでした(→トランプ氏の経済政策をとりあげて「矛盾している」とあげつらう向きもありますが、そうした論評は「いまさら」に思えますし、別途、インフレや利下げ先送りを織り込まなかったマーケットの先週の反応も「矛盾している」ように思えます)。
それほどに「利下げに対するマーケットの確信度が強まっている」という解釈も可能でしょうし、利下げ期待が景気拡大期待につながって、一部のセクター(≒景気敏感系のセクター)を支えているようにみえます。
筆者は、米国景気の先行きとの関連で「ダウ輸送株式指数」に注目しており、これが7/15週にズルっと下がっていたら心配していたでしょうが、同指数は小型株式などとともに戻しており、この点も安心材料と捉えています([図表4]参照)。